持久力が向上するとスピードが落ちる

【期分け・練習計画】【速くなるためのヒント一覧】2011年11月5日 07:00

「昔は陸上の短距離走が速かったのに、ロード・レースのゴール・スプリントではいまいち力を発揮できない」というケースが時々ある。この原因は、単純にスプリント練習が不足している場合もあるが、ロード・レースで最重要となる持久力を鍛えるために長距離を走り込みすぎた結果、筋肉の種類が変わったことが原因になっている場合もある。


持久力が向上するとスピードが落ちる

■元々速筋でありながら持久力の高い「ピンク筋」

人間の筋肉は大きく分けると速筋(赤筋)・遅筋(白筋)の2種類あるが、もうひとつ速筋と遅筋の中間の性質があるピンク筋がある。速筋は持久的トレーニングを行うことで、より持久力の高いピンク筋に変えられることがわかっている。つまり瞬発力に優れているものの、持久力が弱い選手でも、鍛えれば持久力を高めることができるわけだ。

■持久力向上とスピードの関係

ここで注意が必要なのは、持久力が向上するとスピードが低下する点だ。冒頭の例では、長距離を乗り込みすぎたために速筋がピンク筋に変わり全般的に筋力とスピードが低下した結果、スプリントの時に爆発的なパワーが出せなくなってしまった可能性がある。

この点を踏まえると、スプリントやスピードが重要になるようなレースに重点的に出場するのであれば、必要以上に持久力を鍛えすぎない方がよい結果につながるかも知れない。

■90km以下のレースにしか出ない場合は、高負荷トレーニングを中心に行う

特に90キロを超える長距離のレースに出ないのであれば、スピードとパワーの方がより重要になるので、持久力トレーニングに時間を多く割かないほうがよいだろう。具体的には1週間の走行距離は320㎞・1回の練習は最長でもレースと同じ距離にとどめたほうが無難といえる。

その代り、インターバル・トレーニングや高負荷でのペース走に重点を置いた練習構成にするなどして練習の質(強度)を高めれば、レースでのパフォーマンスを高められる可能性が高い。

また体が元気な時に「全力ペダリング」をすることも、スピードの維持・向上に効果が高いと考えられる。

 

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参考文献

  • 長谷川裕著・『スポーツ動作と身体のしくみ』・P50, 51, 78, 79・ナツメ社
  • E・ボリセヴィチ著・『勝つための自転車レーステクニック』・P114, 115
  • 青木純一郎, 佐藤佑, 村岡功編著・『スポーツ生理学』・P16・市村出版