■■インタビュー:Team UKYOのパワートレーニング(1) 片山右京監督■■

【パワトレ情報(その他)】【パワトレ機材まとめ】【パワーメーター】【速くなるためのヒント一覧】2013年5月21日 11:59

パワータップの本邦正規輸入代理店であるキルシュベルク・インク寄稿による、Team UKYOへの「パワーメーター」「パワートレーニング」についてのインタビュー記事です。

第1回目は、片山右京監督へのインタビューです。

 

Team UKYOインタビュー第1弾: 片山右京監督

インタビュー日: 2013年4月20日(土) Text & Photo by キルシュベルク・インク

 

 

創設2年目となる今シーズン、Jプロツアー(JPT)開幕2連勝を飾り、2013年5月20日現在、ルビーレッドジャージをキープするUCIコンチネンタルチーム、Team UKYO

チームは今シーズンよりサイクルオプスのパワーメーター、『パワータップ』をトレーニング機材として導入し、ここまでのJPTで「台風の目」的存在感を示しています。4月20日のJPT第2戦、南紀白浜チームTT前に、チーム監督である片山右京氏に伺いました。

 

■パワータップ導入のきっかけ

(上)創設2年目のチームを率いる片山右京監督。F1で世界を知る『カミカゼ・ウキョウ』はサイクリングでも世界をしっかりと見据えている。

 

キルシュベルク・インク(以下『キルシュ』) 

パワータップ導入を決めたキッカケは何でしょうか?

片山右京(以下『右京』)

パワートレーニングが新しいものとして日本にも入って来だした頃、すでに始めてる人から「いいよ~」って勧められてたんです。

僕もやりたいと思ってたんですけど、正直「高くて買えね~な」と(笑)。

「けっ、俺はロッキーみたいに原始的なトレーニング方法で頑張るよ!」とか言って鍛錬してたんだけど、よくよく調べたり話を聞いたりしてると、やっぱりパワートレーニングがもうスタンダードになりつつあるっていうことが分かって。

で、パワータップを使い始めて、僕自身E3からE2、E1へとレベルを上げていくなかで、やっぱりワットや継続時間、反復回数とか、乳酸が何ミリモル出てるかといった、ちゃんとした物差しがないとダメだなと実感したんです。感覚的に調子がいいとか悪いとかやってるんじゃなくてね。

そしてTeam UKYOを作って、若い選手たちにもそれをやらせようとしたんですけど、パワーメーターってプロでも使ってないじゃないですか。

キルシュ

国内ではまだメジャーな機材とは言えないかもしれないですね。

右京

それにちょっとビックリして。かえって学生のほうが大学が費用の面倒を見てくれるからパワーメーターを使ってたりするという。

でもパワートレーニングというシステムを入れていかないと、日本の自転車競技レベルの底上げにはならないので、今回パワータップをチームの練習に取り入れることにしたんです。

キルシュ

今までのトレーニング方法を変えたくない選手もいたりして、そのために組織的にパワートレーニングを取り入れられずにいるプロチームもあると聞きます。

右京

世界ではパワートレーニングがすごくポピュラーになっていて、選手の実力も僕らよりはるか上でしょう。そういう成功例をお手本にして、素直に受け入れる勇気って必要ですよね。やってみてダメだったら修正したり、別のやり方を模索すればいいだけのこと。僕らは早く強くなりたいわけじゃないですか。それには選手ももうつべこべ言わずにやるしかないでしょう。

 

■パワータップの使い方

(上)レース前のウォームアップもパワータップ完組ホイールで行う。

 

キルシュ

パワータップは具体的にどのような使い方を考えているのですか?

右京

たとえば、スイスのプロチームがチームとしてパワートレーニングをやっていて、膨大な量のデータを持ってる。で、彼らがあるコースで出した運動量をエネルギー換算すれば、「富士山のヒルクライムを○○分で登った場合の平均出力は○○ワットになるから、じゃあ俺たちはローラーの上でそれを再現できれば、本番でもそのタイムで走ることができる」とか、パワートレーニングではそんな分かりやすい考え方ができるじゃないですか。

キルシュ

逆に練習でそれが再現できなければ…。

右京

最初から勝負にならないということになるしね。「僕が練習でとったLT値はこれだけだった」というのはものすごく正直にレースでのタイムに出るんですよ。

たとえば僕の場合だと、月曜朝の出勤前のローラー台にしても、一生懸命に負荷をかけてやったつもりでも、実は土曜のロングライドの影響が残ってて、終わってみれば220Wしか出てなかったり。おじさんは2日後に疲労が来るからね(笑)。

だからやるんだったら、心拍はもう無視してパワーをちゃんと280Wとかまで上げてやらないと筋力はつかない。

キルシュ

今はまだパワータップという機材を導入しただけの段階で、専門家によるデータ解析やトレーニングメニューの作成というところまでは進んでいないんですね?

右京

そこはこれからですね。でも注意したいのは、専門家が出してくるトレーニングを絶対的なものだとして、無条件に選手に押しつけないように気をつけないといけないということ。狩野君にしても土井君にしても、彼らのやり方っていうものがあるし、ルーティンワークって、それを変えてしまうことがメンタルにも影響しかねない、デリケートな面もあると思うんですよね。だから必ずしも「これはこういうもので、やればこうなるはずだからやりなさい」というものでもないと思います。その辺は多角的に判断して臨機応変に対応していかないと。

だからとりあえず今は機材を使ってみて、パワーメーターというものに慣れようという段階ですね。ベテラン選手でないと感覚的に分からないことも、パワーメーターがあれば若い選手には明確な物差しになるし。

 

■パワータップについて

(上)パワータップの最新モデル『G3』。前代から大幅に軽量化を果たした。

 

キルシュ

今はパワーメーターもいくつか選択肢が出てきましたが、そのなかでパワータップに決めた理由はなんでしょうか?

右京

やっぱり自分自身が使っていたというのもあるし、一番正確で手軽というところですね。クランク式だと重量があったり、ペダル式は落車した時に真っ先に壊れるかもという不安があるんで。あと、トレーニングとレースでホイールを履き替える際も、フレームはいつも使っているものを、いつもと全く同じセッティングで使えるのもいいですね。ちょっとでもセッティングが違っちゃうと、特にレース前でナーバスになっている時なんかにはすごく気になっちゃうものなので。

キルシュ

新しいパワータップG3の重量(325g)に関してはどうでしょうか?

右京

僕の持っているやつ(SL+、425g)よりもかなり軽くなっていて、通常のハブと比べてもそれほど重いわけじゃない。それに回転体の中心部分なので実際は重量の影響はほとんどないと思います。

キルシュ

ある実業団選手がパワータップG3付きのエンヴィ製完組みホイールを装着した状態で、車両の総重量が7kgを切っていたという話をしてくれました。その方のバイクは特に最先端の超軽量モデルというわけでもないんですが。

右京

そうそう。だから重量のハンデってもうないんですよね。僕自身の古いパワータップもエッジ(現エンヴィ)のチューブラーホイールに組み込んであるんだけど、軽いの(笑)。

 

■土井雪広選手の加入について

(上)昨年まで8年間オランダで活動し、ブエルタ・ア・エスパーニャも2年連続で完走を果たした土井雪広。今年のひとつめの目標、連覇を狙う全日本ロードが迫る。

 

キルシュ

昨オフのTeam UKYOの最大のニュースと言えば土井雪広選手の加入ですが、それによる一番大きな影響は?

右京

やっぱり全日本チャンピオンである彼の本気度っていうのが最初からチームに伝わったってことですね。それにグランツールを走ってきた、若い選手にとっては憧れというかヒーロー的存在なので、彼らにとっては近くで見てるだけでモチベーションが掻き立てられるんじゃないかな。

それから今シーズンここまでは良くも悪くも彼がこのチームを引っ張ってきていて、若手を育ててくれてるんですね。こないだの伊吹山ヒルクライムで、スプリンターの大久保選手も27位でゴールしたりと、実際に土井効果が表れてますよね。

キルシュ

良くも悪くもと言いますと?

右京

彼のこのチームでの一番の仕事はやはり勝つことなんで、あまり後輩の面倒見が良すぎて自分のトレーニングが十分にできなくてなまっちゃったりしないように注意が必要ですよね。去年までは本場ヨーロッパで毎週のように厳しいレースで追い込みと回復を繰り返してきたわけじゃないですか。向こうではそういう極限状態でいるから強くいられるんだけど、彼の体がこの日本のぬるま湯環境に慣れちゃわないように気をつけてもらわないとね。

キルシュ

若手選手へのロールモデルとなること、それ以上にTeam UKYOが彼に期待するのは、彼自身が勝利を上げるということ。だから彼にはそちらのほうに専念してもらいたいということですね。

右京

そう。まだ若いからね。

 

■チームの目標

 

キルシュ

チームの今年一番の目標は?

右京

開幕前からずっと言ってるように、一番は土井君の全日本ロード2連覇だし、その次は北海道や熊野みたいなUCIレースでステージ1勝は上げたいですね。できればTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)みたいなレースでも勝ちたいけど、出場チームを見るとランプレは来ちゃうわ、ドラパックだわ、チャンピオンシステムだわ…で、ちょっとレベルが違うから(苦笑)。それも2軍じゃなくて1.5軍みたいなメンバーが来るわけでしょ。まあでもこれも日本のレースシーンが変わるきっかけになると思うしね。

キルシュ

チームの若手選手にとっても貴重な経験になるんじゃないですか?

右京

いい経験というより、これから日本の選手は地獄を見るんじゃないですか?自分たちの力やこれまでやってきたことが本当の意味で試される時が来ると思います。特にヨーロッパを経験していない選手たちにとっては試練が待っていると思います。これから国内でも凄い淘汰が始まるんじゃないかな。今日聞いた情報でも、国内のウチ以外のチームでもTOJに合わせて外国人選手を入れる方向で動き出してるみたい。もうそうなってくると日本のレースシーンも一気に加速するなんじゃないですかね。

 

(上)JPT開幕戦直前に来日し、いきなり優勝をさらったホセ・ビセンテ・トリビオ。土井同様、ブエルタを2年連続で完走している強豪だ。

 

キルシュ

Team UKYO内でも今回ホセ選手が加入したことで…。

右京

火つけちゃいましたね(笑)。今年はチーム体制が一新して、まだチームにもドタバタ感があるんですが、この2~3年のうちに周りが驚くくらい別格のチームになってないといけないというのはありますね。そういう空気っていうのは選手たちも何となく分かってくれてると思います。

キルシュ

それではまずTOJでのご健闘をお祈りします。今日はお話をお聞かせくださり、どうもありがとうございました。■

 

Team UKYOが使用するサイクルオプス製品(価格はすべて税込)

■ホイール:PowerTap G3搭載アルミホイールセット

最新パワータップモデル、G3が32組のWheelsmith製ダブルバテッドスポークとブラス製ニップルによってHayes製箱型断面リムに組み込まれたトレーニングホイール。トッププロのハードな使用にも耐え抜く高い剛性を誇る。

  • 品名:サイクルオプス・アルミホイール with PowerTap G3
  • 標準価格:158,000円(リア)/35,000円(フロント)

 

■心拍/パワー計:パワーキャル

心拍からパワーを算出する世界初の心拍ストラップ。実測式パワーメーターの約1/10の価格ながら、精度の高いデータ収集が可能で、発売から半年で国内累計1,500本を売り上げ、ブログなどでも取り上げられることの多い人気製品。

  • 品名:サイクルオプス・パワーキャル
  • 標準価格:12,000円

 

■サイクルコンピューター:ジュールGPS

世界でただひとつ、パワートレーニング用に開発されたサイクルコンピューター、『ジュール』の最上位モデル。豊富なデータ表示やトレーニング補助機能に加え、GPSや気圧高度計、磁気コンパスなど本格仕様の計器を備える。

  • 品名:サイクルオプス・Joule GPSサイクリングコンピューター
  • 標準価格:30,000円

■商品に関する問い合わせ先:キルシュベルク・インク