少ない練習時間で速くなる方法はあるのか?

【FTP・LT・VO2max】【LSD】【初心者のためのヒント】2011年12月16日 22:25

「ロード・レースでもっと速くなりたい!」と思った時、いちばん制約になるのは「練習時間の確保」かと思います。「学校の授業とのかねあい」「仕事が多忙」「お客さんの接待が多い」「通勤時間が長い」理由はさまざまですが、多くの人が「もっと練習できたらもっと強くなれるのに」と思っているのではないでしょうか。

 

本当に強くなるには練習量が必要

■「Miles make the champions.(距離を乗り込んだ選手がチャンピンになる)」

ロード・レーサーとしての実力は、ふつうは「練習量」と強い関係があります。あたりまえのことのようですが、強い選手は「たくさん練習しているから強い(これまでたくさん練習してきたから強い)」といえます。

自転車の格言のひとつに「Miles make the champions.(距離を乗り込んだ選手がチャンピンになる)」というものがあります。

ロード・レースは持久的な競技なので「本当に強くなろうと思ったらやはり時間をかけて距離を乗り込まないといけない」この原則は今も変わっていないといえるでしょう。プロ選手は冬の間に毎日5~8時間程度延々とLSDを行い、多い選手では1ヶ月5,000㎞(!)も乗り込むのは「走った分だけ自転車選手としての基礎を強固になり、レースシーズンによりよいパフォーマンスを出せる」と知っているからでしょう。LSDについてはさまざまな議論がありますが、その多くは「時間がないのにLSDをやる意味があるのか」「どの程度の強度で行うか」ということであり「長距離を乗り込むメリット」自体を完全に否定するひとはあまりいないように見受けられます。

■LSDは時間効率が悪いが『自転車選手として確実に成功するために最良の方法』の一つ

先日の速くなるヒント(LSDのトレーニング効果について)でも紹介しましたが、短時間・高強度トレーニングを推奨しているメデュウスさんという人も以下のようにLSDの効果を認めています。

「LSDは時間効率が悪い方法だ。しかし『自転車選手として確実に成功するために最良の方法』の一つといえる。」

 

練習時間が少なくても速くなれるか

■ホビー・レーサーとしてはかなり速いレベルにはなれる

それでは少ない練習時間しか確保できず、長距離を乗り込むことができないひとは速くなれないのでしょうか。

結論からいうと「プロ」レベル以上のトップクラスの選手になるのはかなり難しいでしょうが、「ホビー・レーサーとしてはかなり速いレベル」まで実力を伸ばす方法はあると思います。

■短時間・高強度トレーニングに集中する

それは「練習効果が高い練習だけに集中して練習すること」です。具体的にいうと、メディオやソリアを中心に「短時間・高強度」で練習する方法がいちばん一般的でしょう。

ロード・レースで特に大事なのはLTのような「長時間運動を続けることができる運動強度のレベルがどの程度高いか」です。LTを向上させるのに効果的といわれているのがメディオやソリアといった運動強度での練習です。これはパワー・メーターの普及で運動負荷が正確に管理できるようになってきたことが大きく影響していますが、多くのトップ・アマチュア選手が平日はローラーで、メディオやソリアを中心に短時間・高強度で練習することで体力を維持・向上させています(ただし本当に強い選手は、週末などにちゃんと実走で長距離を乗り込んでいます)。

つまり1日の練習時間が例え1時間しなかくても、練習効果の高い強度で集中的に練習することで「練習の質」を高め、1日に3~4時間練習できる人並みの練習効果を上げることは可能なのです。

■短時間の練習で強くなるには「きつい練習」が必要

しかしここで注意が必要なのは、1日の1時間の練習で強くなりたいのであれば3時間練習できる人よりも「きつい練習」をしないといけないということです。またこの「きつい練習」を継続していかなければなりません。持久力は年単位でゆっくりと向上していくので、コツコツ地道に練習を続けていく必要があるのです。当たり前ですが「きつい練習」を長期間続けるのは大変です。「きつい練習」に音を上げて3日坊主に終わり長期間練習を遠ざかってしまうくらいであれば、「それほどきつくない練習」をコツコツ毎日継続した方が1年後にはより速くなれることでしょう。

■自分にとってベストな「運動強度」と「練習時間」のバランスで長期的に練習を継続するのが現実的

「きつい練習」に耐えられるかどうかは、そのひとの「やる気」「目標への執念」「素質」「これまでの運動経験」「現在の体力レベル」などさまざまな要素がからみます。その意味では、いろいろな練習方法を試してみて、自分自身にとっていちばんよい「運動強度」と「練習時間」のバランスを見つけだし、それを息長く継続的に行っていくのがいちばん現実的だといえます。