SFRの練習メニュー2種類

【トレーニングメニュー】【ペダリング・ポジション・スキル】【筋トレ・ストレッチ】2011年12月30日 09:33

冬は有酸素持久力・筋力・スピードスキルなどレースで必要となる基礎スキルをみっちり鍛えるのに最適な時期だが、高いトルクで回す能力を鍛えるためにSFRを練習に取り入れている人も多いだろう。SFRの方法としては、Blue Wychの柿木さん推奨の「40rpmでなるべく重いギアを2分間踏むのを2分間×5本、週1回程度行う」というメニューが有名だが、今回はbike training tips.comへの読者投稿から興味深い2種類のSFRの行い方とその効果を紹介する。


自転車上での筋トレ:SFR

■時間効率のよい練習方法の一つ

SFRは低ケイデンスで重いギアを回す「筋持久力トレーニング」「自転車上での筋トレ」ともいえるものだが、投稿者(匿名)によると、正しく行えばシーズンを通してもっとも時間効率のよい練習方法の一つになるという。

■回復に十分時間を割くことが大切

SFRでは筋肉に多大な負荷がかかるので回復に時間が十分割くことが大切になるが、オフシーズンはこれが容易なのでSFRを行うには最適な時期といえる(また回復に十分時間が取れるということは、強度をより高くすることができるという意味でも適している)。

*RPE:主観的運動強度・運動中にどの程度きついと感じるかという主観を基準に運動強度を計る尺度

投稿者の推奨するSFRは以下の2種類だ。


40~50rpm・RPE8(ひじょうにきつい)以上で5~45分間行うメニュー

■神経系を中心に鍛えるトレーニング

ケイデンスがかなり低いので、使える筋肉を総動員して高い筋力を出す必要がある高強度トレーニング。筋肉に小さな損傷が生じるので、適切に回復させることが必要になる。これはペダル・ストロークに特化した筋力を、シナプス(神経活動に関する部位)など神経系を中心に鍛えるトレーニングといえる。

■効率的ペダリング方法の習得にもつながる

このような重いギアでペダルを回すには、通常のケイデンスの場合よりも効率的に回さなくてはいけいないので、効率的ペダリング方法の習得にもつながる。効率的にペダルが回せるかどうかは、エネルギー節約が最重要課題になる複数日のレースでひじょうに重要になる。


50~60rpm・RPE7(かなりきつい)で最大1時間行うメニュー

■呼吸・循環器系などの改善効果・有酸素パワーの強化

この練習は主に呼吸・循環器系やエネルギー源の代謝・分解能力の改善に効果があり、効率的で滑らかなペダル・ストロークで大きな有酸素パワーを出す能力強化によいという。


注意点

■膝が万全な状態で行う・適切に回復させる

両方のメニューに共通する注意点としては、重いギアを長時間踏む運動なので「膝が万全な状態で行うこと」と「適切な回復期間を設けること」が大切になるという点だ。

■高回転ペダリングと組み合わせる

また「SFRを行う時は低負荷での高回転ペダリングを組み合わせるとより効果が高まる」といわれているので、おすすめだ。

■トレーニング効果に否定的な指摘もある

ただしSFRのような筋持久力トレーニングが「本当に効果があるのか」についての議論は、まだ決着がついていない。『パワー・トレーニング・バイブル』はこういったトレーニング方法とその効果について否定的な立場を取っている。理由としては、こういった運動中に発揮される筋力は最大筋力よりもかなり低い水準なので、最大筋力の向上や筋繊維の肥大を起こすには負荷が足りない、といったことが指摘されている。

このようにSFRはその練習効果に対して議論が真っ二つにわれている練習方法ではあるが、幅広く普及している練習方法のひとつであり「実際に効果があった」との意見もよく聞く。その意味では一度試してみて自分に合うかどうか(パフォーマンス改善に効果があるかどうか)を判断してもよいだろう。

 

参照URL

参考文献

  • 柿木克之さん指導・監修・「パワートレーニングで一歩先ゆくベースアップ」・『funride』2009年11月号・P44~45・株式会社ランナーズ
  • ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士・『パワー・トレーニング・バイブル』・P184~187・OVERLANDER株式会社