SMART COACHING(スマートコーチング)説明会・詳細レポート

【ペダリング・ポジション・スキル】【筋トレ・ストレッチ】2013年4月4日 23:00

2013年4月2日(火)にオープンした、自転車競技専用のコーチング・スタジオ「SMART COACHING(スマートコーチング)」について、同年4月1日(月)にプレス向けに行われた説明会の内容についてのレポートです。今までのコーチング・サービスとの違いや、一般のホビー・レーサーにとって実際にどのようなメリットが期待できるかといったことなどをお伝えします。

 

代表者兼コーチである安藤隼人さんのプロフィール

■アスリート・研究者・低酸素トレーニング指導者・コーチといった多彩なバックボーン

代表者であり実際にマンツー・マンでコーチを行う安藤隼人さんのバック・ボーンは、「アスリート(水泳・トライアスロン・自転車競技など)」「研究者」「低酸素トレーニングの指導」「コーチ」といった具合に多彩です。

プロフィール詳細:http://www.smart-coaching.jp/staff.html

このように理論(スポーツ科学など)と実践の両方に精通し、かつそれをわかりやすく相手に伝える能力がある点で、竹谷賢二さんに近いイメージといえるかも知れません(ただしSMART COACHINGの方が、より高度なサービスを少人数限定で提供することを目的にしています)。

■宮澤崇史選手らトップ・レベルの選手への豊富なコーチング実績

トップ・アスリートへのコーチング実績も豊富で、現在も宮澤崇史選手(サクソ・ティンコフ)、小室雅成選手(イナーメ信濃山形)、西加南子選手(LUMINARIA)、武田豊樹選手(競輪S級S班)、岡田征陽選手(競輪S級S班)など約25人のトップ・レベル選手に対して定期的にコーチングを行っているとのことです。

コーチングアスリート:http://www.smart-coaching.jp/athlete.html

 

安藤さんのスタンス

■従来はトップ・アスリートしか受けられなかったレベルのコーチング・サービス

ホビー・レーサーにとってもっとも大きなSMART COACHINGのメリットは、従来は上記のようなトップ・アスリートしか受けられなかったレベルのコーチングを受けられることでしょう。

■上から目線の押し付けでなく、リードし経験させる「コーチング」を重視

特徴的なのは、SMART COACHINGの名前にもあるとおり、あくまでリードし選手に経験させる中で気付きを促す「コーチング」重視のスタンスです。「400ワット×2分を3セットやれ」といった従来の日本の指導者にありがちな上から目線の押し付けとは、一線を画す印象です。

■様々なデバイスを駆使したコンサルタント的なアプローチ

SMART COACHINGでは「何の目的で練習するのか」をはっきり意識して行い、それができなければ「なぜできなかったのか?」をパワー・メーター、ハイスピード・カメラなど様々なデバイスによって、アスリート自身が即時にその場で確認できるように、あの手この手を尽くすという点も特徴のひとつでしょう。

できないということは「間違った動き」をしているともいえます。その「間違った動き」がでないようにするために、「正しい反省、アプローチで修正し行動変容を促す」いわばコンサルタント的なアプローチ手法を取るとのことです。

■「根性がない」ではなく「根性のベクトルが間違っている」

競技レベルが上がれば、「自分で間違いに気づけるのでは?」とも思えますが、「競技レベルが上がれば上がるほど、逆に自分で気づきにくくなることもある」ようです。

従来の日本のコーチは「できないのは根性がないからだ」と切り捨てることが多かったと思います。しかし、「のびない選手というは、根性のベクトルが間違っている場合が多い」というのが安藤さんの見解です。

 

コーチングの具体例

当日は、実際のコーチング事例がビデオで複数紹介されました。

■ハイスピード・カメラを活用した事例

そのひとつに、ハイスピード・カメラでの分析結果にもとづき「腹筋をひっこめた状態」であったのを「お腹を出すよう」にアドバイスしたところ、同じパワーを出しても「上死点を速く過ぎるようになった」→「下死点で踏み過ぎないようになった」→「結果として『足にこないペダリング』になった」というものがありました。

これはハイスピード・カメラで分析し、素早くフィードバックしたことで修正できたもので、「パワーや普通にペダリングを観察しているだけでは気づけないレベルのこと」と思われます。

■一個のデバイスだけで分析するのはリスクがある

安藤さんは「一個のデバイスや指標だけで(例えばパワーだけを見て)分析するのはリスクがある。複数のデバイスを使うことで、レースで本当に役に立つアドバイスが可能になる」と指摘します。

 

宮澤崇史選手のメッセージ

当日は、宮澤選手からビデオ・メッセージが寄せられました。その中で、安藤さんについて以下のような説明がありました。

■体の使い方などのアドバイス

  • これまでは何分、何ワットを何セット…といった具合に、メニューの内容の指導を受けることが多かったが、(安藤さんの場合)体の使い方などをアドバイスしてくれる。これは今までと違う。
  • 「選手ができることとできないこと」「実際のレースではフォームを維持するは難しいが、どう修正をかけるか」「どう体を動かしてパワーを出すか」「弱点をどう強化するか」「先(将来)に伸びていくための方法」といったことをわかりやすく教えてくれる。
  • 上に行こうとして伸び悩んだ時、どういうアプローチをすればよいかのアドバイスが役に立つと思う。

宮澤選手とは、ツアー・ダウンアンダーから、facebookでやりとりを行っており、インターネットを使ったテレ・コーチングを継続しているとのことです。

 

岡田征陽選手(競輪S級S班)・小室雅成選手(イナーメ信濃山形)のコメント

■気づきを与えるのがうまい

当日は、現在もコーチングを受けている岡田選手と小室選手が同席され、安藤さんのコーチングの特徴について説明がありました。両選手とも「体の使い方などの気づきを与えるのがうまい」という点で共通していました。

小室選手のブログ→http://ameblo.jp/cosmic-try/entry-11502939306.html

 

ペダリングについて

■トップ・レベルの選手であってもペダリングに改善余地(=のびしろ)がある

岡田選手はS級S班と呼ばれる競輪選手の中でもわずか9人しかいないトップ中のトップ選手であり、小室選手も昨年JPTいわきクリテリウムで優勝した実力者ですが、それでも「ペダリングの修正や改善余地があった」という点が共通していました。

安藤さんによると、トップ・レベルの選手でも、調子が悪い時は体の使い方がおかしくなり、ペダリングが崩れることがあるとのことです。

■上に行けばスピード・スケートと同じくらい細かな調整能力が必要

安藤さんは自転車の技術面について、「自転車は、(競技レベルが)上に行けば行くほど、スピード・スケートと同じくらい細かい調整能力が必要になる。パワーの数値だけでは、欧米とは戦えない」と指摘しています。ペダリング技術が、実はそれほどまでにデリケートなものであることを理解できている選手は、案外少ないのではないでしょうか。

■競輪のトップ選手がこぞって利用しているというワットバイクを使用

SMART COACHINGには、ペダリング効率チェックのための機材のひとつとして、ロード・レーサーにはあまりなじみのないワット・バイクの最新型が導入されています。チェーンにかかるテンションをもとにしたデータがリアルタイムでモニターに表示され、効率的なペダリングができているかを視覚的に確認することができます。

余談ですが、競輪選手といえばパワー・マックスのイメージが強いかと思います。しかし、岡田選手によると、競輪のトップ選手の中では、近年ワットバイクを購入・使用している選手が多いようです。パフォーマンスが即収入に直結する競輪のトップ選手が活用しているというのは、それだけ効果があるということの証拠のひとつといえそうです。

 

低酸素室でのデモンストレーション

■通常の空気濃度での実験:息を止めるとSpO2が100から90へ低下

低酸素室を活用したトレーニングについても、デモンストレーションが行われました。

まず参加プレスの一部が、SpO2(動脈血酸素飽和度)を計測するためのパルス・オキシメーターをつけて可能な限り長く息を止めたところ、最初は100(%)近辺だったSpO2が、息苦しくなり呼吸を再開してしばらくしてから急激に下がり、90程度まで低下しました(指先で計測するのでタイムラグがあるようです)。

通常の空気濃度でSpO2が90程度というのは、医療機関では「酸素吸入が必要なレベル」ということです(ただし、自転車でもがくと80台になるとのことです)。

■低酸素室へ移動:SpO2は90まで低下

次に乗鞍山頂と同じ程度の酸素濃度に調整された低酸素室に移動してしばらくすると、SpO2が90程度まで低下していました(同じく低酸素室に移動しワットバイクを漕いでいた小室選手のSpO2は78まで低下・指先や唇はチアノーゼのため青紫色に変色していました)。

■呼吸法を実施:SpO2は99まで回復

そこで、安藤さんの指示にもとづき、呼吸法を意識すると驚いたことに比較的短時間でSpO2が99近くまで戻りました(小室選手のSpO2も90程度まで回復していました)。

■乗鞍HCでも、呼吸法の改善だけで平均10W上げることができる可能性がある

これは、乗鞍HCの山頂付近でSpO2の低下が原因でパフォーマンスが低下(パワーが低下)していたのであれば、呼吸法を意識するだけで、酸欠状態を改善し後半のたれを抑えられる可能性があることを示唆しています。

安藤さんによると「呼吸法の改善だけでもトータルのアベレージ・ワットは、かんたんに10Wくらい変わると思います」ということでした。

既にかなり鍛えている選手が、乗鞍HCで平均10Wを練習で上げるには、かなりの練習が必要でしょうが、呼吸法を意識するだけで実現できるのであれば、試してみる価値はありそうです。

■レーザーを当てリアルタイムで動画を見ながらペダリングをチェック

SpO2のデモンストレーションの次に、ペダリング・チェックのデモンストレーションが行われました。

小室選手が低酸素室のワットバイクを漕いでいるところを、真横からレーザー光線を膝辺りに照射。その様子を真横に備え付けたビデオカメラ(ハイスピード・カメラ)で撮影し、映像が小室選手の斜め前にあるモニターにリアルタイムで表示されます。

これによって、小室選手は、リアルタイムで自分のペダリングを目で確認しながら安藤さんのアドバイスを受けることができることが実演付きで紹介されました。

 

コア・トレーニング

動きに問題があることがわかれば、その分析結果にもとづき、バランス・ボールなどのコア・トレーニング用具を活用してそれを改善するためのコア・トレーニングのメニューに取り組みます。

当日は、コア・トレーニングでは、岡田選手やプレス参加者有志の実演付きで、重心のバランスや脱力を活用したペダリングに役立つ実践的なメニューが紹介されました。

■プランクの変形版の実演

その中のひとつに、バランス・ボールを活用したプランク(維持腹筋)の変形版の実演がありましたが、ここで興味深かったのは、本来ある力を入れるべき「骨盤の安定性を高める下っ腹」ではない「上の腹筋」を使ってしまうといったミスが指摘されていた点です。

これははたから見ているとほとんど違いがわかりませんが、実施者が、安藤さんに説明を受けながら実際に筋肉を触られると必要な場所に力が入っていないことが確認できている様子がわかりました。逆にいえば、安藤さんに触って指摘されない限り、まず気づくのは難しいでしょう。

例えば、雑誌などの写真を見て、見よう見まねで同じような格好でプランクを実施しても、実はまったく見当違いの場所を鍛えてしまっているリスクがあるといえそうです。

 

ひとつひとつ動作を改善していく必要性

安藤さんによると「パフォーマンスを改善するにはペダリングも含めて、ひとつひとつ動作を改善していく必要がある。ひとつの指標だけに頼っているのはよくない。」「超一流の選手はそれらが勝手にできているが、普通の人はそうはいかない」とのことです。

 

スマート・コーチングに向いている人・向いていない人

スマート・コーチングは、従来のコーチング・サービスに比べて、より高度な内容であり受講すればパフォーマンス改善はかなり期待できるとは思います。しかし、料金は安くありません。

これらを踏まえて、スマート・コーチングに向いている人と向いていない人についての私見を以下にまとめましたので、ご参考ください(あくまで私見です。興味がある方は、まずは以下リンクよりお問い合わせされることをおすすめします)。

予約・問い合わせ:http://www.smart-coaching.jp/survice.html

■スマート・コーチングに向いている人

  • ある程度ロード・レースを含む自転車競技を経験してきて、最近伸び悩んでいるがまだ上を目指したい人(特に、その原因や解決策が自分ではわかならい場合)。
  • 練習時間が限られているものの、レベルの高いレース(例:乗鞍HCの年齢別)で上位を目指したい人(特に40代前後~)。
  • バイクのパフォーマンスを改善したいトライアスリート。

■スマート・コーチングに向いていない人

  • キャリアが浅く、まだ練習量も少ない初心者(自分で練習量を増やすなどすれば、まだ伸びる余地の多い選手)。
  • まだ伸び盛りの(伸び悩みの壁にあたっていない)年齢の若い選手。

■その他補足事項

質疑応答の中で以下のような点についても説明がありましたので、あわせてご参考ください。

  • 「強くなりたい!」という気持ちがあれば、伸びる余地はある。その意志さえあれば、フォローは可能。
  • マンツーマンが基本なので、内容はいくらでもアレンジは可能。
  • 50~60才と比較的シニアであっても「明日の方がもっと速くなりたい」という方でもOK。
  • テレフォンコーチング・出張対応も可能。
  • レース帯同も可能。この場合、例えば4人一緒にというのでもOK。
  • 合宿への帯同は、まずは相談してほしい。
  • BMXも指導経験あり。
  • 今後、グループ・セッションを行うことも検討中(現段階では詳細未定)。

■こぼれ話

現在、コーチしているトップ・選手の一部からは、「一般の方にまでサービスを広げることで、安藤さんが忙しくなりすぎ、自分たちがコーチを受ける時間がなくなるのは困る」といったコメントもあるようです。現段階では、コーチは安藤さん一人であり、それほど多くの方は見れないと思われます。

本気で興味があるのであれば、早い段階で一度コンタクトされた方がよいかも知れません。

 

コンタクト先・住所・地図など

■コーチング予約・問い合わせフォーム(サービス料金も下段に記載あり)

URL:http://www.smart-coaching.jp/survice.html

■住所

新宿区四谷4-18 高橋ビル地下1階

■アクセス・地図

アクセス・URL:http://www.smart-coaching.jp/access.html


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