インターバル・トレーニングはロード・レースには絶対効果的

【トレーニングメニュー】【レース対策情報・レース戦術】2011年10月30日 20:15

インターバル・トレーニングはロード・レースには絶対効果的だ。特にレースの最終版で勝負がかかった局面からゴールするまでや、先頭集団を追走する際のスピードを維持する能力は、圧倒的にこのインターバル・トレーニングで身に着けることができる。

■インターバル・トレーニングの目的や効果

インターバル・トレーニングは、高強度走の間に回復走を挟んで繰り返して行う練習のことで、その目的はスピードの持続能力を向上させることだ(スタミナの養成ではない)。仕組みとしては、高強度できつい状態のトレーニングを繰り返し行うことで、有酸素のエネルギー系が無酸素エネルギー系にレスキューされる状態を作り出すことで、エネルギー供給システムが改善される。また運動生理学的には、酸素運搬能力の中でも血液の輸送力(最大心拍出量)を向上させる効果が高いことがわかっている。

ここではインターバル・トレーニングのメニューを2つ紹介する。

 

「レースに勝つインターバル」(パワー・ベース)

ロードレースで勝つための動きにはある種のパターンがあるが、これはそのレースでの勝負どころの動きをパワーベースで再現したもの。主にVO2maxに負荷がかかるきついメニューだが、レース対策としてはこの上ない内容といえる。

  1. ウォーミングアップ後、30秒のスプリント(15秒ダンシング)からスタート。
    目標ワットは、平均でFTPの200%・最高で300%(速度は44~48㎞/hまで上げる)。
  2. スプリント後、3分間・FTPの100~104%を維持し、最後の10秒間はダンシングで全力スプリント(目標ワットFTPの200%以上)をして1セット終了。
  3. セット間に5~6分間の回復走を挟み、合計5~8セット行う。
  4. 最後にクールダウンを15分間・レベル2で行い終了する。

 

漸減タイプのインターバル(心拍数ベース)

  1. ウォーミングアップ後、加速し53-16~17で1分間ハードに踏む。
    スピードは60秒間維持できるが70秒はできないスピードで行う。
  2. 時間がきたら42-16~17で90rpmを維持。
  3. 心拍数が110~120bpmに落ちたらアウターに戻し、加速後50秒間ハードに踏む。
  4. 時間が来たらシフトダウンし心拍数110~120bpmに落ちたら、今度は40秒、次は30秒・20秒と少しずつ走行時間を短くしていき、最終15秒で終了する(15秒が効果のある最短時間)。

■漸減タイプのインターバルを行う時の注意点など

  • 各インターバルの直後の心拍数が160bpm未満であれば、強度が足りていない。心臓が最高に近い位脈打ち、インターバルの終わりには、ほぼ肉体の限界に達するぐらいでないと効果がない。
  • インターバルの時間を短くするのは、疲れてきてもインターバルを通して最高に近いスピードと努力の維持が可能だからだ。世界トップ・クラスは55㎞/hを維持する力がある。48㎞/hでで維持できたらかなりレベルが高い。
  • インターバル・トレーニングの距離は約30~40㎞が目安。
  • このトレーニングは必ず一人で行い、常に自分が維持できる最高スピードで進めることが大切になる。
  • 慣れてきたら、2分からスタートといった具合に時間を延長するとよい。

 

豆知識

■最大拍出量と心拍数の関係

インターバル・トレーニングなどを通して血液の輸送力(最大拍出量)が向上すると、心拍数は下がる。トップレベルの選手は安静時心拍数が低いことが知られているが、これはこの最大拍出量が多いか心臓が大きいか(いわゆるスポーツ心臓)もしくはその両方かといえる。以下は著名選手の安静時心拍数。

■著名選手の心拍数

  • RoppongiExpressさん:安静時36bpmくらい(最大は185~6)
  • クライマー系 最強さん:安静時34~36bpm
  • Qちゃん(高橋尚子):平常時35bpm(ただし心臓のサイズは一般人と同じ)
  • ランス・アームストロング:平常時40bpm
  • マルコ・パンターニ:平常時36bpm
  • ヤン・ウルリッヒ:平常時35bpm

 

参考URL

参考文献

  • E・ボリセヴィチ著・『勝つための自転車レーステクニック』・P94~103・並木書房
  • 青木純一郎, 佐藤佑, 村岡功編著・『スポーツ生理学』・P36・市村出版
  • ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士共著・『パワー トレーニング バイブル』・P376・OVERLANDER株式会社
  • Adviser: 今中大介・『今中大介のロードバイクテクニック』・P59, P84~91・枻出版社
  • 桜井智野風著・『ランニングのかがく』・P69~72・秀和システム
  • 小出義雄著・『マラソンは毎日走っても完走できない』・P85・角川SSC新書