パワー・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.3 SRM(1)開発経緯と基本性能

【立ち読み版】2011年8月13日 12:41

SRM

■SRMの開発経緯

■世界で初めて市販されたパワー・メーター

SRM は世界で初めて市販されたパワー・メーターで, ここからサイクリングの技術革新が始まりました。この製品は, ドイツのSRM 社(Schoberer Rad Messtechnik)によって開発されました。医薬品の技術者であったウルリッヒ・ショベラーが, ワット数の計測機を多くの人が使うことのできる製品として市場に送り出したのです。

■スパイダーにひずみゲージを組み込む

ショベラーは1980 年に古いクランクの「スパイダー」(クランク・アームとチェーン・リングの間の部分)を切り取り, ひずみゲージを組み込んだ小皿のようなプレートをパワー・メーターと置き換えて最初の試作品を製造しました。前のチェーン・リングは, サイクリストがペダルに加える力(パワー)を計測できるようにプレートの上に装着しました。この力のデータが送信されるのはプレートが歪んだりねじれたりした時で, ひずみゲージがひずみ量を計測します。このひずみデータが, サイクル・コンピューター内のマイクロ・プロセッサーに送信されワットに変換されます。

■最初のモデルの価格は約1万ドル

ショベラーは, この製品の完成度を高めるためさらに数年を費やし, 最先端のモデルを作り上げました。この最初のモデルは, 市場に投入された当初は1 台1 万ドルに届こうかという信じられないほど高価なものでした。

■ツールを制した初めてのアメリカ人であるグレッグ・レモンが使用

このパワー・メーターを使った最初のアメリカ人はグレッグ・レモンですが彼の成功にこの新技術が少なからず貢献しています。彼は, ツール・ド・フランスでアメリカ人初の個人総合優勝を成し遂げたと同時に, パワー・メーターを本格的に活用したという点でも新しい道を切り開いたといえます。

■SRMの基本性能

■標準的なデータ計測が可能

SRM のパワー・メーターはSRM トレーニング・システムと呼ばれ, これはクランクとチェーン・リングを含んだ総称です。SRM は他のパワー・メーターが計測できる標準的なデータを計測可能です。

■歴史や技術開発に裏打ちされたもっとも信頼性の高いパワー・メーター

SRMは, もっとも歴史があり, もっとも技術開発が重ねられ, もっとも信頼性が高いパワー・メーターです。またワット数をクランクの「スパイダー」の部分で計測するというSRMの方法は, 利便性と論理性を同時に兼ね備えています。なぜなら両足からの力が発生した場所(まさにクランク上)でその力を計測するからです。パワー・メーターはクランクの一部として, 自転車と完全に一体化しています。

■完全防水で幅広いラインナップがある

またSRMは完全防水です。SRMには, ロード用・トラック競技用・マウンテン・バイク用・研究所での科学実験用といった幅広いラインナップがあります。その他に, トレーニング・ジムや運動能力計測センター用の室内用機材もあります。

■パワー・コントロール:ANT+に対応・様々な情報を一覧可能

SRMのサイクル・コンピューター(受信機)は, パワー・コントロールと呼ばれており再充電可能で最新モデルはANT+に対応しています。パワー・コントロールは, ハンドル・バー前方の同じ高さに装着されます。サイクリストは, ワット数・心拍数・ケイデンス・経過時間・現在時刻といった走行中に必要な情報を画面上で一覧でき, 走行中もそれらのデータを見ながらペーシングできます。またパワー・コントロールは, ある程度カスタマイズ可能です。例えば, データをダウンロードする際の記録頻度を最大60秒間隔まで調整可能で, 表示オプションから選択できます。

 

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