サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.9 一流選手の資質:「動機(モチベーション)」

【立ち読み版】2012年8月23日 11:54

一流選手の資質:「動機(モチベーション)」

■モチベーションの高いサイクリストとは

モチベーションの高いサイクリストには、自転車競技へのあふれんばかりの情熱があります。情熱の程度は、自転車に乗る、自転車の手入れをする、自転車に関する本や雑誌を読む、自転車仲間と関わる、自転車について考えるなどの行為に、どれだけの時間を費やしているかでも測れます。

自転車への情熱にあふれる人は、たいてい競技に対する厳しい倫理観を持っています。

こうした人は「ハードなトレーニングこそが良い結果を生み出す」と考えがちです。このような傾向は、ある程度までは効果的です。優れた結果を出すためには、十分な練習を長期間にわたって継続する必要があるのは事実だからです。

■強迫神経症的トレーニングに陥るリスク

ただし、問題もあります。自転車競技への情熱と強い倫理観が、強迫神経症的なトレーニングにつながる場合があるのです。こうした人たちは、罪悪感にかられてしまうために、なかなかトレーニングを休むことができません。怪我、出張、休暇のようなトレーニングの妨げになる出来事があると、ひどく感情を乱されます。やむを得ない事情で練習ができなくなっても、トレーニングをしなければならないという強迫観念が治まらないのです。

■初心者にありがちな「焦り」とオーバートレーニング

この傾向は、初心者に多く見られます。「競技を始めるのが遅すぎた」と焦りを感じていて、「ハードなトレーニングで他の人に追いつきたい」と考えていることもあります。「数日でも練習を休めば、競技を始める前の状態に戻ってしまうかもしれない」という恐れを抱いていることもあります。競技経験が3年未満の選手に、オーバートレーニングの症状が多く見られるのも不思議ではありません。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。