サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.25 体系的なトレーニング(2):トレーニング理念の役割

【立ち読み版】2012年10月23日 06:30

体系的なトレーニング(2):トレーニング理念の役割

■成功を保証する唯一の秘策はない

また本書が、レースパフォーマンスを最大限に高めるための唯一のトレーニングのシステムや手法を提示するものではないことにも留意してください。システムや手法は、コーチとアスリートの数だけあるのです。成功を保証してくれるたった一つの「正しい」方法や秘策はありません。

本書には、願いをかなえてくれる魔法の練習法、奇跡のダイエットサプリメント、万能のピリオダイゼーション計画も登場しません。本書で紹介するトレーニング方法はすべて既知のものであり、少なくとも一部のサイクリストによって実践されているものばかりです。たった1つの勝利の秘策を知るコーチやアスリート、科学者はいません(少なくともドーピングなどの不法なものを除いては)。

■効果的なトレーニング・システムの確立は可能

ただし、効果的なトレーニング・システムを確立した人は多くいます。効果的なトレーニング・システムとは、様々な要素が密接に結びついたものです。それは、要素の寄せ集めではありません。システムを構成するすべての要素が、複雑なパズルのピースのように、ぴったりと組み合わさっているのです。

■トレーニング理念が土台

そこには、すべての要素をつなぎ合わせるトレーニング理念があります。この理念こそが、効果的なトレーニングプログラムの土台となっているのです。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。