サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.29 トレーニング理念(1)継続的な実力アップのために

【立ち読み版】2012年10月30日 06:30

トレーニング理念(1)継続的な実力アップのために

■本書のトレーニング理念

本書で紹介するトレーニング理念は、通説とは異なるものに思えるかもしれません。しかし、この理念に従い、真剣にトレーニングを行えば、必ず能力を伸ばせます。

その理念とは、

「その時期に適切な、明確な目的を持ったトレーニングを必要最小限行い、継続的な改善を実現すること」

です。

■トレーニング時間の有効活用が必要不可欠

「トレーニングを限定する」という考えに不安を感じる人もいるでしょう。サイクリストの多くはオーバートレーニングに慣れてしまい、それが当り前になっています。その熱中ぶりは薬物の常用者に匹敵するほどです。慢性的にオーバートレーニングをしているアスリートは、薬物中毒者と同じように、身体に悪影響をもたらす行動を止められません。パフォーマンスが上がっていないのに、練習スタイルを変えようとは思わないのです。

注意していただきたいのは、先ほど紹介した理念の中で「最小限の距離」とは述べていない点です。ごくかみ砕いていうならば「トレーニング時間を賢く使いましょう」ということです。

本業の仕事を持ち、配偶者や子供がいて、家庭内でも様々な責任を抱える人にとって、トレーニング時間を有効活用することは、単なるトレーニング理念以上の意味を持つ、必要不可欠なことです。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。