サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.32 「トレーニング十則」 一、適度なトレーニングを心がける(2)多くのアスリートが冒す最大のミス

【立ち読み版】2012年11月2日 06:30

一、適度なトレーニングを心がける(2)

■多くのアスリートが冒す最大のミス

多くのアスリートが冒す最大のミスは、「軽めの練習をすべき日にハードな練習をしてしまうこと」です。

このため、本当にハードに追い込むべき日に、十分にハードな練習ができなくなります。結果として、トレーニング、体力、パフォーマンスがすべて月並みなものになってしまうのです。

体力レベルが高くなるほど、トレーニングのきつい日と軽い日の強弱をつけることが必要になります。

■常に自分を追い込むことで速くなれるのか

「常に自分を追い込めば、速くなれる」と考えるサイクリストはたくさんいます。「強い意志と根性があれば、自然の法則を乗り越えて、細胞の変化を速められる」と信じているのです。

でも、そのようなことはありません。限界までトレーニングをすることが良い成果をもたらすことはわずかしかありません。

■トレーニング量の増加率は週10%以内に抑える

身体が最適な適応を見せるのは、わずかな負荷が加えられた場合です。

このため多くのコーチが「トレーニング量を増やす率を週に10%までに抑える」というアドバイスをしています。人によっては、10%でも高すぎる場合もあります。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。