サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.85 リスクとリターン(4) プライオメトリクス

【立ち読み版】2013年1月21日 06:30

リスクとリターン(4)

■プライオメトリクス

12章で紹介した、パワーを強化する爆発的な動きを使ったプライオメトリクスのメニューも高いリスクとリターンをもたらします。

(注:vol.81『問題の防止法と対処法』以降は、14章の内容です。4~13章は立ち読み版には掲載していません)

■伸張性収縮のプライオメトリクス

中でも伸張性収縮のプライオメトリクスはリスクが高い分、求心性収縮のプライオメトリクスよりもリターンが高くなります。

伸張性収縮のプライオメトリクスには、高さのあるボックスから飛び降りて床に着地し、それから1秒以内にすぐジャンプアップしてボックスの上に戻るというメニューがあります。

■求心性伸縮のプライオメトリクス

この同じメニューを求心性伸縮のプライオメトリクスで行う場合は、ボックスから飛び降りて着地する動作を省き、ボックスに飛び乗ったら、その後床に降りて動作を完了します。

この方法ではリターンはあまり期待できませんが、リスクも低くなります。

■持続的に体力を高めるために

本章の目的は、練習種目を選ぶ時に、その練習に期待するリターンと、練習に伴うリスクを検討することの重要性を説明することです。

賢くトレーニングをすることで、「トレーニングし過ぎ」による失敗を避けつつ、持続的に体力を高められます。トレーニングでミスをしてしまったら、次はなるべくリスクを抑えるように務めましょう。経験を積んでいくことで、きっと適切な判断ができるようになっていきます。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。