サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.86 オーバートレーニング パフォーマンスが上がらない時のもっともスマートな選択とは

【立ち読み版】2013年1月22日 06:30

パフォーマンスが上がらない時のもっともスマートな選択とは

■トレーニングに問題がある時のよくある反応

オーバートレーニングとは「トレーニングと休養のバランスの悪さが原因で、運動能力が低下すること」だといえます。

トレーニングに問題があることを、いちばんはっきりと教えてくれるのは「パフォーマンスの低下」です。しかし、私たちは普通、レース結果が悪かった場合、何をするでしょうか?おそらく「もっとハードにトレーニングしよう」と考えるのではないでしょうか。走行距離を増やすか、インターバルの回数を増やそうとするはずです。

パフォーマンスが上がらない時に、「もっと休もう」とするアスリートはめったにいないのです。

■パフォーマンスが上がらない時のもっともスマートな選択とは

もちろん、レース結果が悪かったのは、トレーニングのし過ぎが原因とは限りません。日常生活が忙し過ぎて、疲れていたのかも知れません。週40時間の仕事をし、2人の子どもと配偶者と時間を過ごし、家のローンを支払い、他の様々なことにエネルギーを費やさなければならない場合もあるでしょう。

そんな中、「簡単に調整できるのはトレーニングだけ」という状況もありえます。レース・パフォーマンスが伸び悩んでいるからという理由で、休みが欲しいと会社の上司に電話することは、まずありえないでしょう(どんな会話になるか、想像してみてください)。子どもたちに、ボーイスカウトのミーティングに自分たちで行くように、ともいえないでしょう。

人生にはすべきことが山ほどあります。もっともスマートな選択は、トレーニングを減らし、休養を多くとることです。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。