トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.138 トレーニング分析ソフト ~分析ソフトに必要な機能は?~

【立ち読み版】2013年2月23日 02:18

トレーニング分析ソフト ~分析ソフトに必要な機能は?~

■知識の豊富な選手が設計したトレーニング分析ソフトのほうが、たいていは優れている

現在では、さまざまなコンピューター・ソフトを利用して、パワー・メーターや心拍数計、GPSなどのデバイスからダウンロードしたデータを分析することができます。これらのデバイスには購入するとたいてい、純正のソフトウェアが付属しています。ソフトには非常に基本的なものもあれば、かなり複雑なものもあります。これらのデバイスに付属しているソフトの問題は、ハードの製造には優れていても、ソフトについてはほとんど知識のないメーカーが設計しているということです。残念ながら、これらのメーカーはトレーニングで何が重要かということをよく理解できていないことがほとんどです。このような付属のソフトよりも、ソフトウェア専門会社に所属する、知識の豊富な選手が設計したトレーニング分析ソフトのほうが、たいていは優れています。

■トレーニングやレース分析用の高性能ソフト「WKO+」

分析のためのソフトウェアのなかで、最も優れているものの1つに「WKO+」があります。この製品はオンラインで購入できます(http://TrainingPeaks.com)。ただし、この製品を少々ひいき目に見ていることは認めなければなりません。実は私はこのソフトの開発に多少関わっており、自分の選手のトレーニングやレースの分析にいつもこのソフトを使っているからです。WKO+はシリアスな選手に適した高性能のソフトウェアで、手持ちのデバイスがどんなものであっても、たいていデータの分析が簡単になります。どのメーカーのデバイスでも、心拍数、パワー、ペースが分析できるので便利です。

■分析ソフトに必要な機能

しかし、どのソフトを使おうと、一番知りたいことは、自分がレース目標に近づいているか、つまり「自分は進歩しているか?」ということです。これがすぐにわからなければ、そのソフトには意味がないでしょう。ソフトウェアは次に紹介するような、鍵となる機能を持っていなければなりません。

  • シーズンをとおして、練習ごとに心拍数、パワー、ペース別の練習時間が追跡できる
  • 体力の変化に応じて、特にパワーとペースのゾーンが変更できる
  • 同じような内容の練習と比較することが即座にできる
  • ペースあるいはパワーウエイト・レシオの推移が記録できる
  • 同じような練習でのペース、パワーの向上が追跡できる
  • トレーニング負荷の上昇に対する受容能力の推移を追跡できる
  • 故障せずに耐えられる疲労のレベルを、データを使い測定することができる
  • 体力の向上を示すグラフや数値を表示することができる
  • レースへの準備がいつ整うかが判断できる

■日誌は、トレーニング、休養、栄養と同じくらい、競技力を高めるうえで重要

トレーニングデータの分析をソフトですると決めた場合でも、トレーニング日誌が非常に役立つことには変わりありません。ここで紹介した手書きの記録が合わない人は、パソコンで日誌をつけてもよいでしょう。さまざまなフォーマットがありますので、そのなかには自分に合ったものがあるでしょう。いずれの場合も、すべての詳細を、客観的なデータと主観的な評価の両方で記録しておけば、トレーニング日誌を読むことでトレーニングの大局をつかむことができます。

トレーニング日誌は効果的に活用すれば、練習計画の作成、動機づけ、問題分析のための、優れたツールになります。また、日誌はトレーニングやレースについての履歴書にもなります。日誌をしっかりとつけることは、トレーニング、休養、栄養と同じくらい、競技力を高めるうえで重要なのです。

 

※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■