サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.39 「トレーニング十則」 四、計画に沿ってトレーニングをする(2)目標設定の着手方法

【立ち読み版】2012年11月13日 06:30

「トレーニング十則」 四、計画に沿ってトレーニングをする(2)

■計画には柔軟性をもたせる

どのような計画でも調整は可能です。毎月ゼロから計画を立てる必要はありませんが、逆に一度決めた計画を、絶対に変更してはいけないというわけでもありません。計画の妨げとなる様々な要因に対処できるよう、ある程度の柔軟性をもたせるくべきです。

これら練習の妨げになる要因には、風邪を引く、残業、予定外の出張、知人の来訪など、様々なものがあります。私は「計画の妨げとなることが何も起きなかった」というアスリートを指導したことはありません。計画には必ず邪魔が入るということを念頭におきましょう。予定外の出来事が起きても、慌てずに状況に合わせて計画を変更すればいいのです。

■「夢」を確認することが「目標設定」の第一歩

計画において、大きな目標を持つことはとても重要です。

「自分は目標を持っている」と考えているアスリート多いものの、実際に目標を持っている人はほとんどいません。それは単なる願望に過ぎないのです。

彼らが目標と呼んでいるのは、はっきりと定義されていない、漠然とした大きな成果であることがほとんどです。たとえば「もっと速くなる」などの曖昧なものです。

トレーニング計画を作るとき、私はまずアスリートに「今シーズンの成果を、何を基準にして判断するか?」と質問します。さらに「サイクリストとして達成したい最大の目標は何か」を尋ね、それを目指して長期的な目標を定めていきます。

そのときは遠い夢に過ぎなくても、長い期間をかけて達成を目指すことで、やがて現実的な目標になっていきます。夢を持つことは目標の設定に役立ちます。自分の夢が何かを確認することが、目標設定の第一歩として大きな意味を持つのです。

■目標設定の着手方法

目標設定には、どのように着手すればよいのでしょうか。

まず心に抱いている大きな夢を具体的なトレーニング目標に落とし込むために、具体的な「数値」「時期」「場所」などを考えます。「目標が手の届くところにあり、それに向かって努力できるものか」「目標は現実的か」などを問うのです。

手に入れたいものを正確に知ることは、人生だけでなく、サイクリングでの成功においても不可欠です。目標設定については8章で詳しく考察します。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。