サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.95 燃え尽き(3) 燃え尽きへの対処法と予防法

【立ち読み版】2013年2月4日 06:30

燃え尽きへの対処法と予防法

■燃え尽きへの対処法

「燃え尽きの状態にある」とはっきりと自覚でき、それでもシーズン終盤に重要な試合が残っている場合、できることは3つしかありません。1番目は休養で、2番目と3番目も休養です。

意欲の高い選手にとって、しばらくの間、自転車に乗らないようにするのは、おそらくもっとも辛いことでしょう。しかし、1週間から10日間、トレーニングを完全に休めば、練習を再開できるようになるはずです。

■体力が数日でなくなることはない

「そんなに練習を休んだら、体力が完全に落ちてしまう」という声が聞こえてきそうですが、たとえ体力が落ちたとしても、「体力はあっても無気力」と「体力は落ちてもやる気に満ちあふれている」では、どちらがよいでしょうか。持久力、体力、スピードを向上させるには数か月もかかります。それが数日でなくなることはありません。短い休養をとった後は、強化期1の練習に2週間、最大で3週間取り組むことで、再びレースに出場できる状態までもっていけます。

何より大切なのは、経験から学ぶことです。翌年、同じ過ちを繰り返さないようにしましょう。

■8月の燃え尽きを防ぐ効果的な方法

8月の燃え尽きを防ぐ効果的な方法は、1シーズンに2回、調整期を設けることです。春に一度ピークを合わせてレースに出場した後、5~7日の休養期間を設けます。その後、基礎体力を再強化して、シーズン後半のピークに向けて準備をします。

レースでよい走りをするためには、先を見越した準備が重要です。8月のレースを会心のものにするためには、事前にしっかりと計画を立てる必要があるのです。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。