トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.64 トライアスリートが怪我を防ぐための機材・用具の選定方法

【立ち読み版】2013年2月23日 01:04

トライアスリートが怪我を防ぐための機材・用具の選定方法

■機材はきちんと自分の体とニーズに合ったものを使う

機材はきちんと自分の体とニーズに合ったものを使いましょう。怪我を回避するには、これが最も大切なことです。体に合わないサイズの自転車に乗れば、怪我を招くことになります。特に、男性用の自転車に乗ることが多い女性や、成長を見越して大きめの自転車に乗るジュニア選手は問題です。

■バイクフィット

バイクフィットは怪我の予防だけでなく、パフォーマンスにとっても重要なことです。新しい自転車購入のために、何軒かお店を見てまわるときは、さまざまな質問をしてみましょう。もし身長が63インチ(約160cm)未満あるいは74インチ(約188cm)より高い場合、または身長に比べて手足がアンバランスに短いあるいは長い場合は、カスタムメイドバイクにするとよいでしょう。

■ランニングシューズ

腰より下の違和感や痛みの最初のサインが出たら、ランニングシューズを疑ってみましょう。よくある間違いは、1足のシューズであまりにも多くの距離を走ろうとすることです。選手のなかには、お気に入りモデルのシューズでは200マイル(約322km)しか走らない人もいれば、500マイル(約805km)走ってから新しいシューズに変える人もいます。シューズのアウトソールをチェックする人は多いですが、本当によく注意して見なければならないのは、ミッドソールとヒールカップです。もしシューズの劣化が原因の怪我で悩まされているなら、好きなシューズモデルの耐用期間を知り、シューズ別に走行距離の合計を記録しておくとよいでしょう。自分のシューズが予測された耐用期間の半ばを過ぎたら、今のシューズの見た目に関わらず、次のシューズを買って使い始めましょう。

このほかによくある間違いは、自分の足のタイプや走り方に合わないシューズを選んでしまうことです。ランニングシューズのデザインは非常に専門化してきており、特別な目的でデザインされたシューズが自分の目的に合っていない場合、怪我につながりかねません。たとえば、オーバープロネーション(訳者注:着地時に足首の関節位置が過度に内側に倒れ込むこと)を防ぐデザインのシューズは、それに合った足の人にとっては素晴らしいシューズですが、アンダープロネーション(訳者注:足首が外側に倒れ込むこと)の人にとってはアキレス腱炎、腸脛靭帯症候群、疲労骨折を初めとした重い怪我の原因となります。このような問題を回避するには、過去に履いてよかったシューズを選ぶか、ランニングの知識が豊富な店員がシューズ選びを手伝ってくれる店でシューズを購入するのがベストです。履き古したシューズを見せれば、店員がソールの減り具合を見て、よいシューズを選んでくれるでしょう。

 

※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリール

ジョー・フリールは、Training Bible Coachingの創設者かつ代表者であり、本書で紹介しているコーチング哲学・メソッドを学び応用している、世界中の持久系競技の指導者とともに活動しています。Training Bible Coachingには、トライアスロンを趣味とする人からエリートトライアスリート、サイクリスト、マウンテンバイク愛好者、ランナー、スイマーまでと、幅広い層とさまざまな競技のアスリートが登録しています。

フリールのコーチ歴は長く、1980年から持久系アスリートの指導にあたってきました。彼が指導した選手は、初心者、トップアマチュア、プロ選手とさまざまです。なかにはアイアンマンレースの優勝者、米国内外のチャンピオン、世界選手権代表、そしてオリンピック代表もいます。

彼の著書は本書以外に、『サイクリスト・トレーニング・バイブル』(OVERLANDER株式会社)、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Mountain Biker's Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』があります。また、VeloPress社のビデオ『Ultrafit Multisport Training』シリーズの編集者でもあります。フリールは運動科学の修士号を取得しており、上級コーチの有資格者でもあります。米国トライアスロン指導者委員会においては、その設立に携わり、会長を2期にわたって務めました。

フリールは、雑誌『Inside Triathlon』、『Velo News』のコラムを執筆するかたわら、米国以外の雑誌やウェブサイトにも特集記事を寄稿しています。持久系競技のトレーニングに関することがらについて、実に幅広いメディアから意見を求められており、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』のほか、『Vogue』誌にまで紹介されています。

フリールは、持久系アスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業や政府機関のアドバイザーとしても活躍しています。

エイジグルーパーとしてのフリールは、コロラド州マスターズ選手権優勝、ロッキーマウンンテン地区、サウスウェスト地区のデュアスロンエイジ別優勝、全米代表チーム入り、世界選手権出場と、輝かしいキャリアを誇ります。サイクリストとして米国の自転車レースシリーズにも参加しています。フリールへのご質問やご意見は、ウェブサイト www.trainingbible.comで受けつけています。

 

訳者紹介

篠原 美穂

慶應義塾大学文学部 (英米文学専攻 )卒業、翻訳士。ほかの訳書に『アドバンスト・マラソントレーニング』、『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』(ともにベースボール・マガジン社)がある。