「GoldenCheetahでのFTP算出方法」とその実用性

【FTP・LT・VO2max】【パワトレ機材まとめ】【パワーメーター】【機材一覧】2012年1月14日 18:45

パワー・トレーニング・強度を決定する基準になるFTPを、実際にテストをせずにかなりの精度で調べられる方法がある。それはフリーのパワー・データ分析ソフトのGoldenCheetahを使用してクリティカルパワー(CP)を算出する方法だ。この手法は『行け!おやじライダー』さんがブログでたびたび紹介されているもので、普段からかなり追い込んだ練習をしている場合、かんたんに高い精度でFTPを推定できるひじょうに優れた方法だ。今回はその手順の詳細を説明し、その実用性についてのスキバ博士*の見解を紹介する。

*Dr. Philip Friere Skiba:TSSを改良したトレーニング負荷の指標であるバイクスコア(BikeScore)の開発者


GoldenCheetahを使ったCPの算出方法

■クリティカル・パワーの定義

クリティカルパワーの運動生理学上の定義は「ずっと維持できるパワー」のことで、各持続時間のベスト・パワーから理論値を算出することができる。

■GoldenCheetahを使ったCPの算出方法

これを手計算するのは大変だが、GoldenCheetah*を使えば自動的に算出してくれる。詳しい手順は以下のようなものだ(使用ソフト:GoldenCheetah Version 2.0・ OS:Windowsを想定)。

  1. Golden Cheetahの現在使用しているアカウント(サイクリスト)のデータの保存先を確認する。
    メニューの「ヘルプ」→「Golden Cheetahについて」の順にクリックすると、最下段にデータの保存先が表示される。

  2. 1で確認した「現在使用しているアカウントのデータを格納したフォルダー」が保存されているフォルダーを開け*、そこに新規フォルダーを作成する(このフォルダ名がCPを確認するための新規アカウント名になる)
    *隠しファイルになっている場合は、隠しファイルを表示するように設定を変更する。

  3. 現在使用しているアカウントのデータが保存されているフォルダーを開け、「CPを調べたい期間のデータ(例:直近1~2か月分)」をコピーする。

  4. 2で作成した新規アカウントのデータ保存用フォルダーを開け、コピーしたデータを貼りつける。

  5. GoldenCheetahを起動し、メニューの「サイクリスト」→「開く」→(サイクリストの選択)新しく作成したアカウント名を選択→「開く」の順にクリックして新しく作成したアカウントを開く。

  6. 上に並んだタブの中から「クリティカルパワー」をクリックするととクリティカルパワーが自動計算されて表示される(グラフの横軸の下にある凡例の一番左にある「CP=●●●W」の部分)
    『行け!おやじライダーさん』の画像→リンク

■GoldenCheetahのダウンロードページ

この方法はGoldenCheetahがインストールされているのが前提になる。GoldenCheetahの情報やダウンロードページは以下のリンクをご参照。

  • GoldenCheetah情報(日本語)→リンク
  • GoldenCheetahダウンロードページ→リンク


クリティカルパワーをFTPとして使用することの実用性

それでは、このクリティカルパワーをFTPとして使用することの実用性はどうだろうか。

■スキバ博士の見解:実用性を認めている

クリティカルパワーをFTPとして用いることについてスキバ博士は、『Analysis of Power Output and Training Stress in Cyclists』の8ページで以下のようにその実用性を認めている。

「(前略)クリティカルパワーは1時間の最大「閾値」パワーとかなり近いとわかる。(中略)シンプルに短時間(3分)と長時間(20分)の全力で行ったテスト結果を使った場合によい結果が得られる。(中略)1時間の最大パワーと計算上のクリティカルパワーの差異は、実際問題として無視できると確信するに至った。クリティカルパワーのパラダイムは、トレーニング・スケジュールに悪影響を与えることなく選手を評価するためのフレーム・ワークを提供してくれるといえる。」

■注意点:3分や20分の全力走のデータが必要

この方法で注意点があるとすると、精度の高いCPを得るには、使用するデータの中に3分(短時間)や20分(長時間)で全力で行ったインターバルが含まれている必要があるという点だ。つまり「最近はL2でLSDしかしていない(=全力をふりしぼるような練習をしていない)」「最近L6で30秒のインターバルばかりしている」といった場合には、残念ながらこの手法は使えない可能性が高い。

しかし普段からローラー練やチーム練などで3分や20分といった持続時間で追い込んだ練習している場合は、そのデータを用いることでかなり正確なCP(=FTP)を算出できるだろう。

■定期的に別途テストをせずFTPを確認できる方法

FTPは練習によってシーズン中でもかなり変動するが、現時点での正確なFTPを高い頻度(例:1~2か月ごと)で確認できれば、トレーニング強度の設定がより正確になり、もっと高い練習効率が期待できるようになる。わざわざ定期的に別途テスト(高回転ペダリング1分×3本→5分全力走→20分TT*)をせずに手軽にFTPを算出できる方法なので、活用されてみてはいかがだろうか。

*『パワー・トレーニング・バイブル』P76~77で推奨されているFTP計測テスト手法

 

参照URL

参考文献

  • ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士・『パワー・トレーニング・バイブル』・P72~77, P140~142・OVERLANDER株式会社