サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.93 燃え尽き(1)

【立ち読み版】2013年1月31日 06:30

燃え尽き(1)

■精神面に症状が現れる「燃え尽き」

毎年8月までに多くの選手が「燃え尽き」状態を経験します。

燃え尽きはオーバートレーニングとは異なり、身体的症状はなく、精神面に症状が現れます。トレーニングやレースへの興味が薄れるという特徴があり、自転車に乗ることにフラストレーションや過度の退屈さを感じることもあります。

精神的に消耗することで、数週間にわたってスランプに陥る可能性もあります。スランプが負の作用をもたらし、自尊心や意欲が低下したり、過去の出来事に執着するようになったりすることもあります。

この負のスパイラルが燃え尽きを引き起こします。

■希に燃え尽きと病気の症状が酷似する場合もある

希にではありますが、単核球症(経口感染により発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹を発症する感染症の一種)や貧血などの病症が、あたかも燃え尽きかのように表れることもあります。これは、ごく希なケースですが、万が一に備えて、血液検査を受けた方がよいでしょう。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。