サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.27 オーバートレーニング症候群(2)過度にトレーニングしてしまう理由

【立ち読み版】2012年10月26日 06:30

オーバートレーニング症候群(2)過度にトレーニングしてしまう理由

■練習意欲の高さ・強迫観念

私はこれらの研究結果からも、常に体と脚を疲労させた状態にしておくことは、アスリートにとって良くないことだと考えています。

常に全身を疲労させている選手は、それによって何らかの魔法のような効果を得ているのでしょうか?

私はそうは思いません。彼らが過度のトレーニングをするのは、単に練習意欲が高く、強迫観念的にトレーニングをしなければならないと考えているからだと思われます。

■疲労を感じないことへの不安

実際、この点の考え方の違いで、私が指導を続けられなかったアスリートが数人います。ハードな練習に備えるために休養をとらせようとしても、彼らは疲労を感じないことに不安を覚え、それを体力の低下だと解釈して、勝手にトレーニングを再開してしまうのです。このような〝必要以上の〟トレーニングを何度も繰り返す選手とは、結局、袂を分かつことになります。

私は、このような強迫観念的なアスリートをさらに練習に向かわせるためにコーチをしているのではありません。私の願いは、彼らがレースで今まで以上に速く走れるようになることであり、今以上に疲労困憊し、ストレスで悩む姿を見ることではないのです。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。