トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.82 何をしたら速くなるのか?

【立ち読み版】2013年2月23日 01:22

何をしたら速くなるのか?

体力は、テクニックを磨く練習しているときに得てして身につくものである。

──テリー・ラクリン(水泳コーチ)

■マルチスポーツの選手の多くが目指す3つのゴール

マルチスポーツの選手の多くが目指すゴールは3つです。それは、より遠くに移動する能力、より速く移動するテクニック、そしてより遠くかつより速く、潰れることなく移動するスタミナです。これを1つに絞れば、一定距離をより速くスイム、バイク、ランで移動するテクニックになります。実際、我々のほとんどは、レース記録を縮めるためにトレーニングをしているのです。

では、何をしたら速くなるのでしょうか?答えは簡単です。腕と脚を動かす速度を高める、あるいは1回のストロークまたはストライド頻度で移動できる距離を伸ばす、あるいはその両方です。つまり速度とは、回転数とストローク/ストライド長をかけ合わせたものなのです。ランニングを例に挙げると、ストライド長が一定のまま、ストライド頻度を高めることができれば、速度は増します。もしくは、ストライド頻度が一定のまま、ストライド長を伸ばす筋力を身につけても、タイムはやはり向上します。

■ランニングの例

この関係をもっと詳しく検討してみましょう。再びランニングを例にとります。

仮に5kmのレースで平均ストライド長1.5m、平均ストライド頻度170回/分で走ったとします。そうすると記録は19分36秒になります。しかし、ストライド長が一定のままでストライド頻度を毎分3回増やせば、記録は20秒速くなります。

または、ストライド頻度が170回 /分のままでストライド長を1回につき2.5cm伸ばせば、記録は19秒速くなります。ストライド頻度、ストライド長の両方を向上させることができれば、記録は39秒縮まり、18分57秒の自己新記録を出せることになります。小さなテクニックの向上が大きな結果につながるのです。

もちろん、より長いストライド、より回転の速いストライドで走るということは、その運動努力を維持する体力を身につけなければならない、ということです。

 

※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■