■■本場フランスのアマチュアレース第2回「前を引くとき」■■

【レース対策情報・レース戦術】2013年8月26日 14:30

本場フランスのアマチュアレース第2回「前を引くとき」

Text by KINAN AACA チーム代表 加藤 康則

こんにちは!KINAN AACA チーム代表者の加藤康則です。

本場フランスのアマチュアレース第2回、今回のテーマは「前を引くとき」です。

基本的にフランスのアマチュア選手はほとんどの場合、自分の勝利ためにしか力を使いません。集団の先頭をむやみやたらにローテーションして力を浪費することもありません。

前回と同様にフランスでのアマチュアレース経験をもとに、体験談形式でお話します。よろしくお付き合い下さい。

注:このコラムに書く内容は私自身の体験をもとに私の主観に基づいて書いていますのでその点、ご容赦ください。

 

北フランス特有の丘陵地帯での120kmのロードレース

■日本では体験したことのないコースレイアウト

今回は、北フランス特有の丘陵地帯で行われる、12キロを10周回する120kmのロードレースです。丘を登りきったところから吹きっさらしの横風区間が長く続く、日本では体験したことのないコースレイアウトで、横風区間には一面に菜の花畑が広がっていました。

■集団の先頭に出て前の集団を追いかけようとするが・・・

もう既に何度かフランスのレースを走っており、好調でもあったので、集団の先頭に出ることができました。

集団の前方へ上がったときには、数人の逃げ集団がまだ見える位置にいました。

「これは捕まえられる!」

と判断し、集団の先頭を走り前の集団を追いかけます。前の集団はペースが上がらないのか、心なしか距離が近づいてきたタイミングで、いい加減きついので後ろの選手に手で合図をして先頭交代を要求したところ・・・。

■ローテーションをしてくれない

日本のアマチュアレースでは、「みんなで逃げを捕まえよう」といった意志が働いて、ガンガン多くの選手がローテーションして「前を捕まえよう」といった動きになるところですよね。

ところが・・・すぐ後ろの選手は、今までずっと僕の後ろに着いていただけのくせに、ローテーションしてくれません。それどころかアタックして、数人と一緒に前の集団に追い付いてしまったのです!

僕は置いてきぼりです・・・。

■集団の先頭を引く動きはなく、激しいアタックが繰り返される

その後の集団はというと・・・僕の様に集団の先頭を引く動きは見られません。激しいアタックが繰り返され、数人、また数人と小集団を作って脱け出して行きます。

僕は・・・なかなか脱け出せないままでした。

■集団のほとんどの選手がレースをやめてしまう

気がつくと回りには僕も含めてアタックする体力の残っていない者ばかり・・・。すでにメイン集団とは到底もう呼べないグルペットになっていました。そしてなんとその集団のほとんどの選手が、スタートゴール地点でレースをやめてしまったのです!!

「これは?」

「すでに20人以上が脱け出して行ってしまっていて勝つことは不可能かも知れないけど、完走を目指さないのか?」

「また明日もレースだから?」

彼らの行動が理解できず、こんな疑問が頭の中を、ぐるぐる回りました。

ローテーションして完走しようとする選手は、僕の他には一人しかいません・・・。仕方がなく2人でヘロヘロのローテーションを回したものの、先頭の勝ち逃げ集団にラスト2周でラップされレースを終える結果になりました・・・。

何がポイントだったのでしょうか?

■フランスの選手は勝つために走り、完走は目指していない

まず「フランスでは、多くの選手が勝つために走っていて、完走は目指していないこと」が挙げられます。また、多くの選手が下のカテゴリーで経験を重ねて「集団から脱け出すスキル」を身に着けています。

■自分の力を使うときはアタックして集団から抜け出すとき

ほとんどの選手が、特に上のカテゴリーに行けば行くほど、「自分の力を使うときはアタックして集団から脱け出すとき」と心得て、徹底してそれをやってきます。がんばってローテーションするのは抜け出して逃げを決めようとする時です。

結局このレースに勝ったのは、僕のすぐ後ろからアタックして逃げ集団に追いついた選手でした。

 

集団の動きに見る、日本とフランスのアマチュアーレースの違い

■日本のアマチュアレース

■集団の動き:先頭付近でローテンションが行われる

先頭付近ではローテーションが行われて集団のスピードは多くの場合は一定です (下図を参照)。

■フランスのアマチュアレース

■集団の動き:アタックと牽制が繰り返される

アタックと牽制が繰り返され、集団の形はまるでアメーバの様です。時にはなかなか逃げが決まらず、集団は向かい風の中を時速50kmで走ることもあります(下図を参照)。

■逃げが決まった直後の集団:逃げ集団は一気にメイン集団から離れていき、再度アタック合戦が始まる

「今はちょっと決まらないだろう」と集団が許したとき一瞬アタックが落ち着き、静けさとともにメイン集団のペースが急激に落ちます。このとき許された逃げ集団は、一気にメイン集団から離れていきます(下図を参照)。

しばらくすると、2番目の写真の状態にまたもどって、またアタック合戦が始まります。これを繰り返して逃げ集団が1つ、また1つとどんどんメイン集団の前に出来上がっていきます。

■最終的には、メイン集団と呼べない大きさの集団になってしまう

そして、最終的にはもうメイン集団とは呼べない大きさの集団となってしまうことが多いです(下図を参照)。

 

まとめ

無駄に先頭を引くのではなく、「集団の前に脱け出すため」に足を使う。脱け出せなければ、優勝どころか完走することすら許されない。■

 

*10月12日(土曜日)に、レース名「第一回 Grand Prix de Nagaragawa (第一回グランプリ長良川)」を開催いたします。

本場の選手のように、集団からアタックして抜け出すことが出来るようになるためのスキルを身に着け、実力アップを図りたい方向けのレースです。積極的に動きたい選手、レースでアタックしてみたい選手、レースを練習の場として活用したい選手は、ぜひ奮ってご参加ください。

COUPE DE AACAの公式HP
http://banbanbbros.iobb.net/~kasugai_day/roadrace.html  

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加藤康則さんの紹介

和歌山県、愛知県を中心に約20名のメンバーが所属する実業団チーム「KINAN AACA」代表。

20代前半のころエキップアサダのフランス遠征をきっかけに本場のアマチュアレースを経験し、現地のロードレースの虜に。フランスで2001~2004年の4シーズン経験。

(上)2004年、エリートレースでカテゴリー優勝した際の写真。中央、赤いウェアであごひげを生やしているのが加藤さん。右隣の赤いウェアは当時のチームメイトの宮澤崇史選手(現:サクソ-ティンコフ)、白いウェアは、新城幸也選手(現:ユーロップカー)。

現在は、会社経営とトレーニングの傍ら、本場のアマチュアレースと同じようなアグレッシブな展開のレース開催*を実現すべく奔走中。

加藤康則さんのブログ「カトー少年」
http://syounen.hatenadiary.com/

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