トライアスリート・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.84 ほかの選手よりもエネルギーのロスが少ないことによる成功の実例

【立ち読み版】2013年2月23日 01:24

ほかの選手よりもエネルギーのロスが少ないことによる成功の実例

■経済的な動きを身につければ、パフォーマンスを向上させることができる

1969年、オーストラリアのデレク・クレイトンはその後1981年まで破られなかったマラソンの世界最高記録、2時間8分34秒を打ち立てました。しかし驚くべきことにクレイトンのVO2maxはわずか69.7ml/kg/分(体重1kgあたり1分間に利用できる酸素量)だったのです。これは、世界の一線級の選手から見れば、歩行者とも言える値であり、同じころに活躍したほかの選手に比べ、かなり見劣りのするものでした。例を挙げると、クレイグ・ヴァージンが81.1、ゲーリー・タトルは82.7、ドン・カードンは77.4、ビル・ロジャースは78.5です。ところが、はるかに優れた「エンジン」を持つこれらの選手のなかで、クレイトンの記録に迫るタイムを出すことのできた選手はいませんでした。クレイトンの成功は、その動きのエコノミーによるものだったのです。つまり彼は、ほかの選手よりもエネルギーのロスが少なかった、というだけのことです。

エコノミーというコンセプトは重要です。優れた有酸素運動能力を授かって生まれていなければなおのこと大切です。デレク・クレイトンの例に倣い、スイム、バイク、ランの経済的な動きを身につければ、パフォーマンスを向上させることができるのです。

 

※この記事は、『トライアスリート・トレーニング・バイブル(TTB)』篠原美穂訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE TRIATHLETE'S TRAINING BIBLE 3RD EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『トライアスリート・トレーニング・バイブル』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』の著者であるジョー・フリール氏による、トライアスロン教本の世界的ベストセラーの日本語版です。■