サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.33 「トレーニング十則」 一、適度なトレーニングを心がける(3)コーチとしての自分の役割

【立ち読み版】2012年11月5日 06:30

「トレーニング十則」 一、適度なトレーニングを心がける(3)

■慎重で着実な進歩の効果

練習の強度に留意しながら、慎重かつ着実に進歩をしていくことで、次第に能力が高まるだけでなく、練習以外の日常生活のための時間とエネルギーも確保しやすくなります。

トレーニングを楽しんでいるアスリートは、いつもオーバートレーニングぎりぎりの練習をしている人よりも、多くの効果を期待できるのです。

■コーチとしての自分の役割

コーチの指導を受けず、セルフコーチングをしているサイクリストは、客観的で冷静な考え方を身につけなければなりません。いわば、「ライダーとしての自分」と「コーチとしての自分」の一人二役が必要です。管理者になるのはコーチとしての自分です。

ライダーとしての自分が「もっと走りたい」と言っても、それが妥当なものかどうかを疑うべきです。疑わしいと思えば、練習はそこで終えるようにしましょう。

■適度で潔い練習を

練習は常に適度かつ潔く行いましょう。

登りの反復練習をコーチとしての自分がちょうどいいタイミングで止めようとしたとき、ライダーとしての自分がもう少し走りたがっていても、練習はそこで終えるべきです。

それは、自分に負けることではありません。むしろ、それは勝利なのです

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。