サイクリスト・トレーニング・バイブル【立ち読み版】vol.58 生理学と身体能力 有酸素運動能力(Aerobic capacity)(1)

【立ち読み版】2012年12月10日 06:30

生理学と身体能力 有酸素運動能力(Aerobic capacity)(1)

■体力の4つの基本要素

体力は、どのように測定すればよいのでしょうか。

科学は、体力に4つの基本要素を見出しています。それは「有酸素運動能力(Aerobic capacity)」「乳酸閾値(LT:Lactate Threshold)」「有酸素性作業閾値(Aerobic Threshold)」「エコノミー(Economy)」です。

一流選手は、この4つの生理学的要素の数値が優れています。

■有酸素運動能力(Aerobic capacity)とは

有酸素運動能力は、持久系の運動で全力を出し切った時に全身が摂取できる酸素量を指し、最大酸素摂取量(VO2max)とも呼ばれます。

VO2maxは、研究所などの施設で「段階的なテスト」によって計測できます。アスリートに酸素摂取量計測装置を付け、体力の限界に達するまで数分ごとに強度を上げていきます。

VO2maxは、1分ごとに体重1キロにつき消費される酸素量をミリリットルの単位で表わします(ml/kg/分)。世界レベルの男性サイクリストで、通常70~80ml/kg/分です。身体を動かす習慣のある男子大学生は40~50ml/kg/分程度、女性は男性よりも平均で約10%低くなります。

 

※この記事は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『THE CYCLIST'S TRAINING BIBLE 4TH EDITION』ジョー・フリール著・velopress)の立ち読み版のランダム掲載分です。『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』は、わかりやすく最も信頼のおける自転車トレーニング教本として名高い世界的ベストセラーの日本語版です。■

 

著者紹介

ジョー・フリールジョー・フリール

ジョー・フリールは、1980年から持久系アスリートを指導してきました。依頼者はアマチュアからプロのロードサイクリスト、マウンテンバイク選手、トライアスロン選手、デュアスロン選手、水泳選手、ランナーと多岐にわたります。米国内だけでなく海外の国内チャンピオン、世界選手権に出場するような一流選手、オリンピック選手など、世界中のアスリートが、フリールの指導を受けてきました。

本書以外にも、彼の著書には、『Cycling Past 50』、『Precision Heart Rate Training』(共著)、『The Triathlete’s Training Bible』『The Mountain Biker’s Training Bible』『Going Long: Training for Ironman-Distance Triathlons』(共著)、『The Paleo Diet for Athletes』(共著)、『Total Heart Rate Training』『Your First Triathlon』などがあります。また、フリールは運動科学の修士号を取得しています。

『Velo News』『Inside Triathlon』などの雑誌のコラムニストとしても活躍し、海外の出版物やウェブ・サイトにも特集記事を寄稿。スポーツ・トレーニングの権威として、『ニューヨーク・タイムズ』『アウトサイド』『ロサンゼルス・タイムズ』などをはじめとする、大手出版社などのメディアからも頻繁にコメントを求められています。また、米国のオリンピック関連の各連盟にもアドバイスを提供しています。

フリールは、持久系のアスリートのトレーニングやレースについて、世界中でセミナーやキャンプを行い、フィットネス産業の諸企業へアドバイザーとしても活躍しています。彼は毎年、もっとも将来性の高い優れたコーチを複数名選び、一流のコーチの仲間入りができるよう、彼らの成長を見守っています。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。