「水分量減少の影響」と「最適なドリンクの温度」

【サプリ・食事・補給】2012年7月13日 07:00

スポーツ・トレーニングの常識では、今と昔でまったく逆のものもある。その代表例のひとつが「水分補給」だろう。今回は水分補給関連した、「水分量減少の影響」や「最適なドリンクの温度」について紹介する。

 

体内の水分量減少のパフォーマンスへの影響

■運動中の水分補給はパフォーマンス維持に有効

かつては「運動中の水分補給は悪いこと」と考えられていたが、現在では運動中の水分補給がパフォーマンスの維持に有効であることが広く知られており、むしろこまめな水分補給が推奨されている。

■脱水症状の悪影響は「有酸素運動」の方が早く現れる

脱水症状は、有酸素運動と無酸素運動のいずれにも悪影響をおよぼすが、その閾値(いきち・しきいち)は以下の通り「有酸素運動」のほうが「無酸素運動」よりも早い段階で悪影響が現れる。

■パフォーマンスに悪影響を及ぼす体の水分減少量の閾値(体重に対する比率)

  • 有酸素運動:2%

  • 無酸素運動:4%

最高発汗量は1時間あたり1~2㎏が標準的だが、体重60㎏の人の場合その2%は1.2㎏なので、運動開始後1時間を待たずして持久力に悪影響が出始める可能性があるといえるだろう。

 

最適なドリンクの温度

■5~15度が最適な温度帯

また「冷たいドリンクはよくない」とい考えも現在では否定されている。

現在では、もっとも身体がドリンクを吸収しやすい最適な温度帯は、5~15度といわれている。実際に体温並みの37度の水よりも、4度の水のほうが身体への吸収が速く体温上昇抑制効果も高かったとの研究結果がある。

特に暑い時期には給水回数が多くなるが、温度計をクーラーボックスなどに忍ばせておき、ドリンクの温度を5~15度に調整して受け渡すことができれば、選手の「レース中の体内への水分吸収速度」を最速化できる可能性が高いだろう。

 

参考文献

  • 桜井智野風著・『ランニングのかがく』・P119・秀和システム
  • 青木純一郎, 佐藤佑, 村岡功編著・『スポーツ生理学』・P66・市村出版