アグレッシブなダウンヒル・ポジション

【ペダリング・ポジション・スキル】【レース対策情報・レース戦術】【空力・エアロダイナミクス・TT・下り】2012年5月15日 07:00

長い見通しのよい下りでは、いかに空気抵抗が小さいフォームを取るかが大きなスピード差に直結する。以前、「長い下りで空気抵抗を最小化するダウンヒル・ポジション」を紹介したが、今回は、『PERFORMANCE CYCLING』を参考に、従来のダウンヒル・ポジションよりもさらに劇的な空気抵抗削減効果があるアグレッシブなダウンヒル・ポジションを紹介する。

 

アグレッシブなダウンヒル・ポジション

■AISではさまざまなポジションが研究されている

AIS(The Australian Instetute of Sports)では、さまざまな「過激」ともいえるポジションについて、空気抵抗がどのように変化するかの研究が行われている。その中には、通常のダウンヒル・ポジションに比べて大幅な空気抵抗削減効果があり、プロが実戦で使っているものもある。

■胸をトップチューブにつけるダウンヒル・ポジション

そのひとつが以下の写真のように胸をトップチューブにつけたポジションだ。10%の勾配の下りで、このアグレッシブなダウンヒル・ポジションと、下ハンの前方を握りアゴを限りなくハンドル(もしくはステム)に近づける「従来のダウンヒル・ポジション」のCdAを比較したところ、「アグレッシブなポジションは従来のポジション比で25%ものCdAの削減効果がある」との結果が出たという。これは下りの長さが1㎞であれば3.97秒、5㎞であれば27.6秒もの差にもなる*。

*ライダーの体重・転がり抵抗・空気抵抗などの前提条件により変化する

写真掲載元:cyclingnews

写真掲載元:BICYCLE CENTER

■バイクコントロールが難しく危険を伴う

ただし、この過激なポジションは極端にバイクコントロールがしにくく危険を伴う。ロード・レーサーとしてのキャリアが長く、ライディング・スキルが十分に高い場合を除いて試さないほうが無難だろう。

 

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参考文献

  • JAMES HOPKER, SIMON JOBSON編・『PERFORMANCE CYCLING: THE SCIENCE OF SUCCESS 』・P117~118・BLOOMSBURY