アタックが成功しない3つの理由と無酸素持久力の強化方法

【トレーニングメニュー】【レース対策情報・レース戦術】【立ち読み版】2018年7月6日 00:15

 

アタックが成功しない3つの理由

自分のアタックが成功しない理由をしりたいと思ったことはないでしょうか?レースに勝つための試みが思い通りの成果につながらない主な理由は、3つあります。

 

■VO2maxパワー/閾値パワーの不足

最速の選手たちと集団走行すると、集団についていくだけでもきついのではないでしょうか?このようなケースでは、VO2maxと閾値パワーが向上しない限り、早い段階で本気のアタックをかけるチャンスはまずないでしょう。

より大きな有酸素エンジンが備わったら、成功しない理由がVO2maxパワー/閾値パワーの不足なのか、無酸素パワーの不足なのかを解明しましょう。VO2maxも、アタック開始後数分間において重要な役割を果たし、逃げが成功するかどうかを決める要因になることがあります。

 

■無酸素パワーの不足/スプリント・スキルの不足

レース中は楽に感じられてアタックのタイミングを見計らっているものの、実際には一度としてアタックが成功した試しがない場合は、無酸素系のパフォーマンスの分析が必要です。

 

「この場合、アタックがうまくいかないのは、無酸素パワーやスプリント・スキルの不足が原因でしょう」

 

ジャンプを仕掛けた時にパンチが足りないので、集団全体が反応し、あっという間に捕まってしまうのだと思われます。また、アタックする余裕を見せると、「(あなたが)集団走行をまったく苦にしていない」ことを他の選手に見抜かれ、極端に警戒心を高めてしまうリスクもあります。

 

■戦術的なミス

自分と同じレベルの選手と競争しているのであれば、他の選手も全員がレースに勝つことを夢見ているでしょうから、そもそも集団から抜け出すのは難しいものです。他の選手は、あなたが単独で抜け出してゴール・ラインまでたどり着くのを容認しないでしょう。

仮に、ライバルたちに比べて明らかに自分が強いのであれば、頭を使って利口に立ち回らなければなりません。パワー・アタックの代わりに、他の選手の注意を引かないようなスロー・アタックを仕掛けるという手があります。

スロー・アタックであれば、他の選手は次のように考えてくれるかもしれません。

 

「あいつは疲れているようだ。あれが今絞り出せるベストであれば、放っておいてもペース・ダウンして集団に吸収されるだろうから、チェックして引き戻す必要はないだろう。本気のアタックに備えてエネルギーを温存しよう」

 

ポイントは、パワー・アタックのようにライバルを驚かせることがないので、集団は即時に反応せず、ギャップをノー・チェックで広げることができるという点です。もうひとつのメリットとしては、ギャップを広げるのに無酸素系のダッシュを必要としないので、無理のないペース配分を維持できる可能性があるとういう点です。

 

無酸素持久力の強化方法

トレーニングを始める前に、無酸素パワーのテストを実施することをおすすめします。前にも触れましたが、この能力を直接測定する方法はありません。ただし、無酸素パワーを推定するための最も簡単な方法は、30秒のオールアウト・テストです。

ここでは、無酸素持久力をより高いレベルまで引き上げるのに役立つと思われる無酸素系のトレーニング・プログラムを2つ紹介します。

 

■無酸素持久力プログラム1

15分:ウォーミング・アップ(強度を上げていく)

5×(60秒:最大強度+6分:回復走)

 

このプログラムは、無酸素パワーを向上させるためにデザインされています。このインターバル中、体は膨大な量の無酸素系代謝にさらされます。

たった数回程度このメニューに取り組んだだけで、無酸素パワーが必要な状況下で、よりよいパフォーマンスが発揮できるようになるでしょう。この能力は、主として無酸素域での努力が必要なレースにおけるジャンプやスプリントの時に必要になります。レースに向けて準備する時には、こういった「力を出し切るトレーニング」に最優先で取り組むべきだといえます。

 

■無酸素持久力プログラム2

15分:ウォーミング・アップ(強度を上げていく)

10×(30秒:最大強度+3分:回復走)

 

このプログラムも、無酸素パワーの向上用にデザインされています。プログラム1に比べるとインターバルが短いので、より高いワットを出せるはずです。プロトンからの飛び出しがうまくいかなかった経験があるのであれば、このインターバル・セッションに取り組むことで、きっとパワフルなアタックができるようになるでしょう。

 

 

  • 記事出典:ジェスパー・ボンド・メデュス著・高嶋竜太郎訳・『短時間 効率的サイクリング・トレーニング』(OVERLANDER株式会社)の抜粋
    ※本件記事用に、本文を一部加筆修正しています。