ロードレーサーの1年間(基礎・強化・ピーク・レース期間)

【初心者のためのヒント】【期分け・練習計画】2011年11月8日 17:41

LSDなどにより持久力のベースができたところで、レースで必要となる強度に耐えれる体をつくるために、練習強度を少しずつ上げて行きます。

 

基礎期間

■距離を乗り込みつつ練習強度を上げる

ある程度距離を乗り込みながら、走行時のスピードを上げ、峠やローラー(室内練習器具)でやや長い時間きつめの負荷をかけたりして、少しずつ体をきついレベルの運動にならしていきます。

■筋トレを行うのも手・練習量は年間で最大に

人によっては、筋力強化のためにウェイト・トレーニングを行う場合もあります。この時期はいわば基礎期間で、練習量を1年で最も多くするのが理想的です(個人差はかなりあります)。

 

強化期間

■優先順位の低いレースに出る

レースに出れそうなくらいの体に仕上がってきたら、実際にレースに出場し始めます。3月頃からロードレースの数は少しずつ増えていきますが、重要なレースというのは多くありません。そこで体の仕上がり具合を確かめることやレース用の能力を磨き上げることを目的に、優先順位の高くないレースに出場します。

■レースで必要な能力を効果的に鍛える方法

レースで必要な能力を一番効果的に鍛える方法がありますが、何かわかるでしょうか?

答えは「レースに出場すること」です。これは意外に思う人もいるかも知れませんが、理由は次のようなものです。

レースでは自分を限界まで追い込める

理屈上は、レースで必要な能力を練習で磨くことはできます。しかし一人で練習している時に、レースの時と同じように自分を限界まで追い込むのはかなり難しいといえます。よほど意志の強い人であれば、できるかも知れませんが、そういう人はあまり多くありません。競争相手が目の前にいて、全力を出さなければ遅れてしまうという切羽詰まったレースの環境のほうが、自分の能力の限界まで使い切ることができるのが普通です。そのレースの環境を正確に再現できるのは、レースがベストなので「(余り重要でない)レースに出場することが(重要な)レースに向けて最高の練習になる」のです(もちろんチーム練習で本気でレース並みに競い合えばレース対策としてかなり効果的です。しかし、自動車や信号などの影響を考えると、レース程休みなく高強度で乗り続けるにはかなりコースを選ぶ必要があります)。

レースで気付いた弱点を重点的に鍛える

レースに出ると、自分の仕上がり具合やまだ不足している部分がわかります。レースで気づいた不足部分や弱点があれば、大切なレースまでに特に重点的に鍛えていきます。

■高強度の練習を増やし、練習量を減らす

この時期は、レースに出ない時もレースに必要な能力を鍛えるために、高強度の練習をまじえるので、基礎期間よりは練習量を減らすようにします(そうでないとオーバートレーニングになってしまいます)。この期間は、いわばレースに向けた強化期間の位置づけです。

 

ピーク期間

■テーパリング:練習強度を高く保ちつつ、練習量を減らす

重要度が高いレースの前の1~2週間前になったら、練習強度は高く保ちながら練習量を減らすようにします。これを「テーパリング」といいます。目的は高めてきた「体力」や「体のキレ」を保ちながら、レース当日をなるべく疲労を抜いた元気な状態で迎えられるよう調整することです。レース直前まで練習したとしても、わずか1~2週間で体力が劇的に向上することはありません。それであれば練習量を少なくして疲労を抜き元気な状態でレースに出場したほうがレースでの好成績を狙う上では得策といえます。ただし時間は短くても練習強度は高く保っておかなければいけません。そうでないと、いざレースに出た時に体がびっくりしてしまい、うまく反応しないことがあります。この時期をピーク期間といいます。

 

レース期間

■重要レースにピークを合わせることが重要

テーパリングがうまくいけば、レース当日にピークをつけることができます。あとは目標のレースでそれまでの練習成果を存分に発揮するだけです。普通ピークをつけたら、1~3週間程度続きます(人によっては数か月間維持できるようですが、かなりまれです)。重要なレースが重なる時期(レース期間)にピークをうまく調整することが、レースで練習成果を最大限発揮するために何より大切です。

いちばん重要なレースが終わったらオフシーズンに入るか、少しの期間体を休めてから、次の重要なレースに向けてもう身体の調子を上げて行きます。

 

計画的に長期間取り組む必要性

■詰め込みはきかない

以上が、ロードレーサーの1年間のおおよその流れです。ロードレースで必要な体力は、残念ながら試験勉強のように詰め込みがききません。じっくり計画的に長期間かけて作り上げて行く必要があります。これから本格的にレースに参加してみたいと思っているのであれば、上記のような1年間の流れをざっと頭に入れて練習し、自分なりにアレンジを加えていけばよいと思います。