上りが得意でレースも完走できるが、スプリントで競り負けてしまう場合のリミッター ~主観的な分析でのリミッターの見つけ方~【BBC】

【初心者のためのヒント】【立ち読み版】【速くなるためのヒント一覧】2016年11月3日 06:01

「上りが得意でレースも完走できるが、スプリントで競り負ける」

これが当てはまる人は、集団走行の技術が高く、筋持久力も優れているが、絶対パワーと爆発的パワーが不足していると考えられます。スプリント勝負の前に早めに集団から抜け出るという戦術を試してみてもよいですが、5~12秒間のスプリント・パワーの改善にも取り組みましょう。レースで強みを活かすと同時に、リミッターも鍛えなくてはいけません。スプリンターの足を活かして逃げやアタックをしかけ、レース序盤にできるだけ多くのライバルを置き去りにする戦術を試してみてもよいでしょう。

スプリント・パワーは筋力やフォームに左右されますが、スプリントの成功には、タイミング、ポジション、反射神経、勇気、自信、多少の運などのさまざまな要因が影響します。私がベーストレーニング向けに考案した、スプリント・ドリルに取り組んでもよいでしょう。スプリントの強化は基礎期前期から始め、調子を上げながら、筋力とスプリント・パワーの強化と合わせて行っていきます。チームメイトとスプリントの練習をして反応時間を向上させ、大勢の選手と一緒に全力で走ることに慣れるようにします。

 

※この記事は、『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』児島修訳・OVERLANDER株式会社(原題:『BASE BUILDING for CYCLISTS』トーマス・チャップル著・velopress)の立ち読み版です。『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』は、『サイクリスト・トレーニング・バイブル(CTB)』を下敷きにした、1年のなかでも最も重要でありながら、最も理解されにくい時期でもある「基礎期(ベーストレーニング期)」に、どのようにトレーニングすべきかを詳しく掘り下げた好著です。■

 

著者紹介

トーマス・チャップル

ウルトラフィット・コーチング・アソシエイト。USAサイクリングおよびUSAトライアスロンで、公認コーチとしてエリートレベルの選手のコーチを行っている。1997年に専業のコーチとなって以来、指導してきた選手は、全米および世界のレースで優秀な成績を収めてきた。チャップルの指導した選手は、ハワイのアイアンマン世界選手権のエイジ別入賞やアマチュア部門での優勝、全米プロ/エリート・クリテリウム選手権の上位入賞、NORBA全米シリーズの年代別部門、24時間単独マウンテンバイク・レースの優勝などの栄光に輝いている。

トレーニングやサイクリング関連の定期刊行物、ウェブサイトに定期的に記事を寄稿。そのコーチングスタイルは、短期・長期の目標への到達を目指すトレーニングプロセスにフォーカスしながら、バランスと一貫性を重視していくというものである。選手時代は、全米レベルのダウンヒルのマウンテンバイク・レースや、地元のロードおよびトラック競技の選手として活躍した。詳細は、ウェブサイト(www.coachthomas.com)を参照。

 

訳者紹介

児島 修

1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。スポーツ、ビジネス、ITなどの分野で活躍中。訳書に『サイクリスト・トレーニング・バイブル』(OVERLANDER株式会社)、『シークレット・レース』(小学館文庫)、『マーク・カヴェンディッシュ』(未知谷)などがある。